日本人の移住を禁止する排日移民法が米国で定められてから100年になる。国家間に憎悪を生み出し、世界の分断を深める一因となった。教訓を今に生かしたい。
日本が招いた惨禍を正当化する理由にはならない。だが、米国の排外主義がその伏線として作用したことは否定できないだろう。
そして今、世界を見渡せば、当時と似たような光景が広がる。
ドイツやオランダでは移民排除を掲げる極右政党が支持を伸ばしている。フランスでは外国人の受け入れや滞在許可の要件を厳格化した。
移民大国の米国でもまた、寛容政策をとるバイデン政権に対する批判が高まっている。大統領選で競うトランプ前大統領は不法移民の一掃を公約に掲げる。
この流れを反転させる必要がある。重要なのは、協調主義の衰退を食い止めることだ。自国の利益のみを追求する「一国主義」から脱却しなければならない。
この100年で外交はより重要になり、人権意識は高まった。その促進に注力することが今を生きる指導者たちの責務だ。