「水俣病の新たな救済策を」 訴訟原告や弁護団、環境省に要請書(2024年5月27日『西日本新聞』)

 水俣病被害者救済法の救済策から外れた住民らが国や熊本県、原因企業チッソなどに損害賠償を求めている各地の訴訟の原告や弁護団でつくる「ノーモア・ミナマタ被害者・弁護団全国連絡会議」は24日、環境省に新たな救済策を講じるよう求める要請書を提出した。
 要請書は、昨年以降の大阪、熊本、新潟の各地裁判決で水俣病と認められる原告が相次いでおり、「現行制度では救済されない多くの被害者の存在を明らかにした」と指摘。発言遮断問題を受け、同省が水俣病タスクフォースを設置したことを踏まえ、被害者側と訴訟の和解や救済に向けた協議を速やかに開始するよう訴えた。
 同省側は職員1人が対応。「持ち帰って内容をよく確認したい」と述べるにとどめ、省内の検討状況も「現時点でお話しできない」と繰り返した。
 要請後に取材に応じた熊本訴訟の園田昭人弁護団長は「被害者を切り捨ててきた歴史がマイク切りという形で表れている。ただ聞きますという態度は不誠実だ。環境省が本気で問題を解決しようとしているのか甚だ疑わしい」と憤った。 (金沢皓介)