マイク音切り問題、環境相が新潟水俣病患者とも懇談へ…式典出席せず「軽くみられている」と団体側が反発(2024年5月14日『読売新聞』)

 熊本県水俣市で行われた水俣病の患者・被害者団体と伊藤環境相との懇談で、団体側の発言中に環境省の職員がマイクを切った問題に絡み、伊藤氏は14日の閣議後記者会見で、新潟水俣病の患者・被害者団体と懇談する場を設ける考えを表明した。団体側は、今月31日の新潟水俣病の歴史と教訓を伝える式典への出席を要望していたが、通常国会の会期中のため、別日程での実施も検討している。

 伊藤氏は10日の閣議後会見で、新潟水俣病の式典について、自身は出席せず、国定勇人・環境政務官を派遣する考えを示していた。これに対し、団体側は「同じ水俣病に変わりないのに、新潟ではなぜ出席できないのか。新潟は軽くみられている」と反発。伊藤氏は14日の会見で、「新潟の皆さんからのお話は、ゆっくりと(聞く)機会を持ちたいと思っています」と述べ、懇談の実施に意欲を示した。しかし日程については「調整する」と述べるにとどめた。

 また、水俣市を再度訪れて団体側と懇談する日程についても、近く環境省幹部を現地に派遣して、調整する考えを明らかにした。そのうえで、2017年以降は、1団体あたりの発言を3分もしくは4分と定めていた可能性が高いとする資料が見つかったことも公表。それ以前の運用については、資料が見つかっていないとしている。同省の説明では、昨年の懇談で、団体側の発言が一定時間を超過したらマイクを切ることを事前に決めていたが、実際に切ることはなかったという。

 さらに伊藤氏は、省内に、政務三役や省幹部、担当部署などで構成する水俣病対応の作業部会を設置したことも発表した。「今回のことを深く反省し、環境省全体で一丸となって(水俣病関連の)取り組みを進めてまいります」と信頼回復に意欲を示した。

 

伊藤環境相 新潟水俣病の被害者団体などと面会へ 式典は欠席も「声聞く機会を探っている」(2024年5月14日)

環境省マイク切り問題で新組織設置を発表 現場で司会の特殊疾病対策室長も副主査で名を連ねる(2024年5月14日『日刊スポーツ』)

 環境省は14日、今月1日に熊本県水俣市で開かれた水俣病の犠牲者慰霊式後の被害者団体などとの懇談会で役所側が団体側の発言中にマイクの音を切るなどした問題を受けで、省が一体となって水俣病対策に当たる新たな組織「水俣病タスクフォース」を設置したことを発表した。

 顧問には伊藤信太郎環境相ら政務三役が就任したほか、和田篤也事務次官ら幹部が幹事を務める。発言者の発言中にマイクが切られた懇談会の現場で司会を務めた木内哲平・特殊疾病対策室長も、副主査として名を連ねた。メンバーは計29人。会見した伊藤氏は「問題解決のために何ができるか、機動的に動く」と訴えた。

 今回の問題をめぐり強い反発の声が出たことを受けて、伊藤氏は8日に急きょ水俣市を訪れ、関係者に直接謝罪。「時間を超過した一部の方について、発言の途中でマイクの音量を切る運用をしたことは大変遺憾。発言されていた方に対して大変申し訳ない思いだ。深くおわびを申し上げたい」と述べ「深い反省の上で、どのようにすれば皆さまに寄り添った懇談ができるか検討していきたい」としていた。

 1日に行われた伊藤氏と水俣病患者らでつくる8団体との懇談会の場では、団体側の代表者らが切実な思いを訴えているさなかに「3分」と決められた持ち時間が過ぎると環境省側がマイクの音量を切ったり、発言をさえぎる対応をしていた。