松崎さん こんにちは。忙しい中、本当に申し訳ございませんが、私は水俣病患者連合の副会長をさせてもらっている松崎重光と申します。
私の家内は去年の4月に「痛いよ、痛いよ」と言いながら死んでいきました。結果としては、これは水俣病やと私は思っています。(妻は)魚が好きで、私は漁師だったので、2人で仕事をしていました。(原因企業の)チッソさえ水銀を流さなければ、死ぬことはなかったと思っております。それを、国が「水俣病ではない」と棄却ばっかりして、やっぱり、水俣病だったんだろうなと思っております。
(妻は)苦しんで、苦しんで死んでいきました。私は病院に連れて行き、どうにかできませんかと(話したら)「モルヒネ打ってみなさい」と。「少しずつ入れていきよるばってんね、止まってくれれば良いけどね」と言われました。海に生きて、海で死んで、私は本当に悲しいです。
私はいつも思っているんです。やはり水俣の会社が水銀をたれ流さんと、こういうことにはならなかったんだがね、と。私はいつも家内と話していました。
(発言開始から約5分経過)
環境省職員 申し訳ございません、お話をまとめてください。
(※マイク切れる)
会場の声 スイッチが切られた。
会場の声 あんたら、本当に水俣の被害者のことを考えたら、しゃべらせたら良いのに。
会場の声 理不尽や。
会場の声 聞いてやれーな、大臣。
(※マイク入る)
松崎さん 苦しんで、苦しんで死んでいった者の気持ちをくんでいただけませんか。お願いします。以上です。
水俣病の患者・被害者らが1日に伊藤信太郎環境相と懇談した際、環境省職員が被害者側のマイクの音を発言中に切った問題で、伊藤環境相は8日午後、熊本県水俣市で患者団体の関係者と面会し、直接謝罪した。伊藤環境相は「心からおわび申し上げたい。今日はその謝罪に参った。今回のことを深く反省し、環境省全体として皆さまのお気持ちに沿えるよう環境行政を進めていくことを約束する」と述べ、深々と頭を下げた。
懇談は、水俣病公式確認から68年となった1日、慰霊式の後に水俣市内で開かれた。八つの団体の代表がそれぞれ3分間の持ち時間で国への要望を述べていた中、持ち時間を超過した団体の発言中に、司会役の職員がマイクの音を切った。
環境省特殊疾病対策室によると、持ち時間を超えた場合にマイク音を切るという方針を事前に決めていたという。
熊本県の木村敬知事は伊藤環境相の水俣訪問に先立ち、コメントを発表。「このような事態になったことは大変残念。(懇談が)実りある場となるよう、環境省において運営の改善をお願いしたい」とする一方で、「国会審議のさなか、環境相が水俣市にお越しになり、直接謝罪されるとうかがっており、大臣が水俣病問題に真摯(しんし)に向き合っておられることの表れであると受け止めている」とした。【西貴晴、中村敦茂、山口桂子、山口智】
熊本県水俣市で1日に行われた水俣病の患者・被害者団体と伊藤環境相との懇談中に、団体側の発言中に環境省職員がマイクの音を切った問題で、伊藤環境相は8日、水俣市を訪れて当事者らと面会し、「大変申し訳ないことがあった。心からおわびする。深く反省し、環境省全体としてお気持ちに添えるよう取り組む」と謝罪した。
1日の懇談には熊本、鹿児島両県の8団体が参加した。このうち、昨年亡くなった妻への思いを語っていた「水俣病患者連合」副会長の松崎重光さん(82)と、「水俣病被害市民の会」代表の山下善寛さん(83)が発言の途中でマイクの音を切られた。
同省は、事前に通達した「1団体3分」の発言時間を超過したためと説明していたが、団体側は「被害者の弁論を封殺する暴挙」と抗議。これを受け、環境省は「不信感を抱かれる対応だった」と陳謝し、伊藤環境相が、マイクを切られた2人に対し、直接謝罪する意向を示していた。
岸田文雄首相は8日、水俣病の患者・被害者らと伊藤信太郎環境相との懇談の際に被害者側の発言を制止した環境省の対応を巡り、「関係団体の皆さまを不快にさせる不適切な対応だった」と述べた。伊藤氏の責任については「今後とも水俣病対策を進めるにあたり、関係者の皆さまに寄り添った丁寧な対応をしていくことも含め、職責を全うしてもらいたい」と語り、続投させる考えを示した。
官邸で記者団に語った。