『
日本書紀』によると、684年に今の四国が揺れた
地震があった。「国挙(こぞ)りて男女(おのこめのこ)叫び唱(よば)ひて、不知東西(まど)ひぬ。則(すなわ)ち山崩れ河涌(わ)く」。阿鼻(あび)叫喚の様相となり山は崩れ、川の水はわきだしたようだ
▼「伊予湯泉(いよのゆ)、没(うも)れて出(い)でず」。松山の
道後温泉のことで温泉の湧出が止まったらしい。「土左国(とさのくに)の田菀五十余万頃(たはたけいそよろずしろあまり)、没れて海と為(な)る」。五十万頃(しろ)は約1200ヘクタールで土佐の国、今の
高知県でそれだけの田畑が
地盤沈下で海に沈んだ
▼一昨日の夜、
愛媛県や
高知県で
震度6弱を観測した。負傷者が出て水道管の破裂や落石なども伝えられる。お見舞い申し上げる
▼白鳳大
地震級の被害ではなさそうだが、おおむね100~150年間隔で起きるとされる
南海トラフ巨大
地震の想定
震源域内で起きた。前回から約80年が経過。
気象庁は「この
地震によって直接、
南海トラフ巨大
地震発生の可能性が高まったとは言えない」と語っており、過度の心配は避けたいが、備えを吟味する機とはしたい
▼白鳳大
地震に関し
日本書紀は「古老(おいひと)の曰(い)はく、『是(かく)の如(ごと)く地動(ないふ)ること、未(いま)だ曽(むかし)より有らず』といふ」とも伝えている。当時は未曽有の災い。日本人はその後幾度も経験し、泣いた。無駄にすまい。