「立憲全勝」の衆院補選、「惨敗」自民党と並んで大ダメージを受けた維新の会(2024年5月2日)

■ 「立憲を叩き潰す」の日本維新の会・馬場代表への手痛いしっぺ返し

 だが窮地に立っているのは自民党や岸田政権だけではない。

 日本維新の会馬場伸幸代表は、4月18日の記者会見で、政治改革の議論や国会の憲法審査会での立憲民主党の対応を批判したうえで「立憲民主党を叩き潰す必要がやはりある」と述べた。

 「わが党は有言実行で約束したことは必ずやるが、立憲民主党はいいことを言って高めの球は投げるが、絶対にやらない。理由として『法律が通ってないから』などといつも言う」と指摘。

 また、馬場代表は「時々、政権が入れ代わることが日本の政治を良くし、政治家が国家国民のために働く原動力になる。自民党日本維新の会が『二大政党』で戦い合うようになれば、お互いに切磋琢磨していくレベルに政治が変わる」と述べている。

 維新の会が自民党と並んで政権を担う資格のある政党であると言っているわけだ。

 ところが、である。今回の補選では、東京15区と長崎3区で、叩き潰すはずの相手である立憲候補との一騎打ちであったのだが、いずれも「惨敗」だった。威勢のいいセリフで有権者の関心を引いていただけに、維新の会にとっては手痛い敗北である。

 「馬場代表の存在の軽さというのがひと際目立っていると思います。

 能登半島地震直後の1月4日に馬場代表は『万博があるから(被災者たちも)頑張って欲しい』と震災と万博を結び付けた発言をして顰蹙を買っています。まだ震災の被害状況も分からない時期にこのような発言をした事実を消し去ることはできません。

 また予算をドンドン上回っている万博の杜撰な計画に対し、反省の声を聞くことはできません。維新の会が大阪の万博誘致をしたのは事実で、その万博開催に異論も吹きだしているのに、ムードが盛り上がらないのはまるで宣伝が足りないからというような頓珍漢な対応をしている始末。維新の会は大阪を本拠地として議席を増やした党で、万博誘致の勲章を最大のウリにしてきたのに、現在はその“実績”を伏せるような態度です。

 維新の会を全国に浸透させる目論見も今回の選挙で見果てぬ夢であったことを思い知らされたのではないでしょうか。もっと地に足を付けた活動をするべきでしょう」(前出・政治部デスク)

■ 長崎では維新の会市議が離党していた

 日本維新の会の足元は昨年の暮れから大きく揺らいでいた。長崎県和歌山県で市議や県議の離党が相次いでいるのだ。

 長崎県では市議が3人、和歌山県でも県議1人と市議が2人の計6人が離党を表明した。一般的には自民党の裏金問題に世間の関心が集まっているが、その陰で維新の会の「離党ドミノ」はなぜ起きたのだろうか。

 昨年11月24日、日本維新の会長崎県支部に所属する3市議が長崎市内で記者会見し、「県総支部の執行部からパワハラを受けた」などとして離党届を出したことを明らかにした。

神宮寺 慎之介

 

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