衆院政倫審 あすの開催見送り 公開の是非めぐり折り合いつかず(2024年2月27日『NHKニュース』)

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、与野党は28日と29日、衆議院政治倫理審査会を開く方向で調整してきましたが、公開のあり方をめぐって折り合いがつかなかったことなどから、28日の審査会の開催は見送られました。今回の問題で与野党は、自民党の安倍派と二階派の事務総長を務めた5人からの申し出を受けて、28日と29日、衆議院政治倫理審査会を開く方向で調整を進めてきました。

しかし、公開のあり方をめぐって合意できなかったことから27日も審査会の与党側の筆頭幹事を務める自民党丹羽秀樹衆議院議員と野党側の筆頭幹事を務める立憲民主党の寺田学・衆議院議員らが断続的に協議を続けました。
この中で丹羽氏は、議員に限って傍聴を認める案を改めて提示したのに対し、寺田氏は応じられないという考えを伝えました。
野党側の説明などによりますと、これを受けて自民党は5人のうち西村・前経済産業大臣と武田・元総務大臣の2人の審査を28日先行して行う案を新たに示しました。
公開については、冒頭のみカメラでの撮影を認めることなどを提案しましたが野党側は審査全体を通しての撮影や中継を認めるべきだと反発しました。その後、自民党から、28日、2人が出席しないことが伝えられたということで、28日の審査会の開催は見送られました。
このため、28日午前、自民党立憲民主党が引き続き協議を行うことにしています。

自民 浜田国対委員長「あさって以降に開催できるよう努力」

自民党の浜田国会対策委員長は27日夕方、国会内で記者団に対し「いまだ審査会の中身や進め方について合意が得られてないが、やることは間違いないわけで、どこかで折り合いをつけ開催することになる。あすの開催は無理だができれば、あさって以降に開催できるよう努力したい」と述べました。
また、申し出た議員に公開を働きかけるかを問われ「段階を踏んでどこまでやれるかも含め、確認しながらやっていくことになるだろう」と述べました。

自民 丹羽氏「公開できる部分あれば公開する形で協議を」

衆議院政治倫理審査会の与党側の筆頭幹事を務める自民党丹羽秀樹衆議院議員は記者団に対し「審査を申し出た議員には『議員のみの傍聴』までは納得してもらったが、野党側が『全面公開』と言ってきたため、条件が整わず、審査会の開催には至っていない」と述べました。
その上で「審査会はあくまでも議員本人の意向を十分に尊重し説明の場を与えるものだ。基本的には議員の意思を最大限尊重し、公開できる部分があれば公開する形で野党側と協議していきたい」と述べました。

立民 岡田幹事長「公開せずに開催されれば国民の不信感高まる」

立憲民主党の岡田幹事長は、記者会見で「国民に対して説明するのであれば、公開が当然だ。問われているのは、岸田総理大臣のリーダーシップで、公開せずに開催されれば、国民の不信感はさらに高まることになる。なぜそれが分からないのか不思議でならない」と述べました。
また、新年度予算案をめぐり与党側が来月1日に衆議院で採決したいと提案したことについて、「政治とカネの問題だけでなく、少子化対策の『支援金制度』など、聞けば聞くほど分からなくなる説明ぶりだ。まだまだ審議が足りず、冗談ではない」と述べました。

立民 笠国対委員長代理 「こんなことで二転三転 信じられず」

立憲民主党の笠国会対策委員長代理は、記者団に対し「自民党は西村前経済産業大臣と武田元総務大臣の2人について、一定の条件のもとで、あす審査会をやるということだったが、西村氏があすやらなくなり、それに対して武田氏が『なぜ自分が1人なんだ』ということで、今、断ってきたということになった。『2人』と言っていたのが『1人』になって、この1人も、あすやらないということで、本当にどうなっているのか私もよく分からない。こんなことで二転三転するのは信じられない」と述べました。

立民 寺田氏「情けなく このような自民 見たことない」

衆議院政治倫理審査会の野党側の筆頭幹事を務める立憲民主党の寺田学・衆議院議員は記者団に対し「自民党の交渉当事者としての能力がかなり欠落し、党のガバナンスがほぼ機能していない状態だ。あすは2人が出席するという話が、1人になり、その1人も出席しないということになったが、具体的な理由は説明がなかった。本当に情けなく、このような自民党は見たことがない」と述べました。その上で「自民党があす新たな提案をしても、果たして実現可能なのかさまざまな角度から確認しないと幹事会には移れない。しっかり反省してほしい。審査会として申し出があった議員の審査をしなければならない役割はあるので、果たすべくしっかりやりたい」と述べました。

共産 穀田国対委員長「密室で開催しても疑惑は晴らせず」

共産党の穀田国会対策委員長は、記者会見で「密室で開催しても疑惑は晴らせず、最良の方法とは言えない。自民党の対応は、真相究明にふたをする態度にほかならず、党として『全面公開するからよろしく』と議員を説得すればいい。説明責任を果たすことすらしないのは許せない対応で、新年度予算案をさっさと通過させてしまおうとするのは論外だ」と述べました。