衆院政倫審 公開是非で折り合いつかず 与野党で引き続き協議へ(2024年2月26日『NHKニュース』)

今回の問題で、安倍派の事務総長を務めた塩谷元文部科学大臣、松野前官房長官、西村前経済産業大臣、高木前国会対策委員長と、二階派の事務総長を務めた武田元総務大臣の合わせて5人が、衆議院政治倫理審査会での審査を申し出ています。
審査会は26日の幹事会で今後の対応を協議しました。
この中では審査会のあり方をめぐって、自民党が5人の意向を踏まえ、原則どおり非公開で開催したいと提案しました。
しかし、野党側は「直接、国民に説明責任を果たすことが必要で、公開で行うべきだ」と主張し、折り合いませんでした。
このため、与野党間で調整されていた28日と29日の開催は、正式な合意には至らず、引き続き協議することになりました。
このあと与党側の筆頭幹事を務める自民党丹羽秀樹衆議院議員が、野党側の筆頭幹事を務める立憲民主党の寺田学衆議院議員に対し、議員に限って傍聴を認める案を提案しましたが、合意には至りませんでした。
与野党は27日に改めて幹事会を開き、公開の是非などについて協議することにしています。

自民 茂木幹事長「公開には議員本人の同意が必要」

 

自民党の茂木幹事長は記者会見で「政治倫理審査会の審査は、本人の弁明の申し出が基本であり、公開には議員本人の同意が必要になっている。今回の事案の性格からして事実関係が明らかとなり、説明責任が果たされることは大変重要だ」と述べました。
一方、審査会に出席する5人の政治責任をめぐる党の対応を問われたのに対し「まずは審査会での弁明や説明がどうなるかを注視したい」と述べるにとどめました。

立民 寺田衆院議員「直接国民に説明責任果たすことが必要」

 

衆議院政治倫理審査会の野党側の筆頭幹事を務める立憲民主党の寺田学・衆議院議員は記者団に対し「われわれとしては直接国民に対し説明責任を果たすことが審査会として必要だと申し上げているが、自民党が公開を拒んでいる状態だ。一案として『議員の傍聴を認める形で開催したい』という話があったが理解できず、合意に至っていない。自民党が国民への説明責任に対する重要性を理解していないことは大変残念で情けない」と述べました。

共産 小池書記局長「最良の方法であれば非公開はありえず」

 

共産党の小池書記局長は、記者会見で「岸田総理大臣は『最良の方法を期待している』と言ったが、最良の方法であれば非公開はありえず、完全公開にすべきだ。審査会はみずから潔白だと申し述べる場であり、出席する5人が『不当な疑惑だ』と言うのであれば、テレビカメラの前で堂々と話せばいい」と述べました。
そのうえで、新年度予算案の審議日程について「集中審議の回数も不十分で、中央公聴会で意見を聴いたうえで審議を深めていくことは必須だ。来月1日や2日に衆議院を通過させることはありえない」と述べました。

この問題で、参議院では政治倫理審査会の幹事懇談会が開かれ、先に立憲民主党など野党4党が32人の出席を求めて審査会の開催を求めたことを受けて対応を協議しました。
その結果、与野党は27日午後審査会を開き、立憲民主党が申し立ての内容について説明を行うことで合意しました。

自民 佐藤参院議員「できるだけ調整を加速させたい」

 

与党側の筆頭幹事を務める自民党佐藤正久参議院議員は国会内で記者団に対し「衆議院などの状況を見ながら今後の日程を設定していくことになるが、できるだけ調整を加速させたい。参議院としては初めての審査会となり、申し立てがあったことは重く受け止めないといけない」と述べました。

立民 吉川参院議員「政治に対する信頼を損なう事案」

 

野党側の幹事を務める立憲民主党の吉川沙織・参議院議員は記者団に対し「あすの審査会の後の日程については、国会の全体状況を見ながら決めていくことになるが、速やかに与党側と協議していきたい。政治に対する信頼を損なう事案であり、野党側が審査について申し立てをせざるを得ず、立法府の一員として残念だ」と述べました。