政治資金問題 自民 松野氏 西村氏ら5人 衆院政倫審出席の意向(2024年2月21日『NHKニュース』)

派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、自民党は、松野 前官房長官や西村 前経済産業大臣ら5人が衆議院政治倫理審査会に出席する意向だと野党側に伝えました。野党側は、一定の前進だとしたうえで、来週、審査会を開催するよう求めていて、新年度予算案の審議日程も含め与野党の間で協議が続く見通しです。

派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けた衆議院政治倫理審査会について、自民党は21日、立憲民主党に対し、安倍派の塩谷 元文部科学大臣と、二階派の武田 元総務大臣に加え、いずれも安倍派の「5人衆」と呼ばれる議員で事務総長を務めた松野 前官房長官、西村 前経済産業大臣、高木 前国会対策委員長の3人が出席する意向だと伝えました。

これで自民党が出席の意向を伝えた議員は合わせて5人となりました。

これを受けて野党4党は国会対策委員長が対応を協議し、一定の前進だとしたうえで、来週、審査会を開催するよう求めていくことで一致しました。

与党側は、来週の開催に応じる構えで、与野党の間で具体的な日程の調整が行われる見通しです。

また野党4党は、参議院でも政治倫理審査会を開催するよう自民党の野村審査会長に申し入れ、安倍派「5人衆」の1人の世耕 前参議院幹事長ら32人の出席を求めました。

これに対し、世耕氏は、審査会が開かれれば、出席して説明責任を果たしたいとするコメントを発表しました。

一方、衆議院予算委員会で審議が行われている新年度予算案について、自民党は、年度内の成立を確実にするため、採決の前提となる中央公聴会を来週29日に開催したいと新たに提案しましたが、野党側は、政治倫理審査会の開催が確定しなければ合意できないとして引き続き協議することになりました。

 

西村前経産相「説明責任果たしたい」

政治倫理審査会に出席する意向を固めた自民党の西村前経済産業大臣は、国会内で記者団に対し「きのう森山総務会長から話があったので、出席する意向を伝えた。私が知りうることをすべて正直に話して、説明責任をしっかり果たしたい。国民の政治不信を招いているので、それぞれの立場でしっかりと説明することが大事だ。手続きの詳細は分からないが、よく聞いて準備したい」と述べました。

また、記者団から議員辞職や離党の考えがあるかと問われ「説明責任をしっかり果たしていきたい」と述べました。

岸田首相 党内の調整状況について報告受ける

岸田総理大臣は21日午前、自民党の麻生副総裁や茂木幹事長、それに森山総務会長ら執行部のメンバー7人と会談し、政治倫理審査会の開催に向けた党内の調整状況について報告を受けました。

また、審議日程が窮屈になる中、年度内の成立を目指す新年度予算案の衆議院での採決日程や、他国と共同開発した防衛装備品の第三国への輸出に関する公明党との協議をめぐっても意見を交わしました。

自民 御法川国対委員長代理「新年度予算案の年度内成立を」

自民党の御法川国会対策委員長代理は、記者団に対し「野党側には受け取ってもらったと思う。『政治倫理審査会を速やかに開いてほしい』ということになったので現場で進めていく。最初の幹事懇談会で、野党側から『関係する議員はすべて出席を』という話があったが、それを再確認するよう求められたので『それはわかりました』と答えた。与党としては新年度予算案の年度内成立を期すことができるよう、真摯(しんし)に野党と話し合いを続けていくということに尽きる」と述べました。

立民 安住国対委員長「派閥幹部の出席は前進」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、自民党の浜田国会対策委員長との会談のあと記者団に対し「事務総長を経験した派閥幹部が出席することは前進だ。きのうは『話にならない』と言ったが、少しは話ができるようになった。幹部でない議員に出席意向の確認をしていない可能性があるので、もう1回確認するよう伝えた」と述べました。

そのうえで、新年度予算案の審議日程について「派閥の幹部が政治倫理審査会に正式に出席を申し出たわけでも開催の日程が確定したわけでもない。急いで確定してもらえれば、日程は動くかもしれない」と述べました。

また「政治倫理審査会に5人が出てくることについては是とするが、来週の開催がマストであり、来週必ず弁明を聞かせてもらう。その確約がないと、新年度予算案の日程の合意はなかなか難しい。予算案の衆議院の通過前に審査会で話を聞くことが野党全体の意思だ」と述べました。

そのうえで、審査会の開催の形式について「本人の意思を尊重しないといけないが、できればフルオープンでということは強く申し上げる。隠し立てする内容ではないので、一つの条件なのかなと思う。自民党側できちんと説得してほしい」と述べました。

維新 藤田幹事長「審査会は公開を」

日本維新の会の藤田幹事長は、記者会見で「自民党は『世論の批判が過ぎるのを待とう』という姿勢が見え隠れしていたが、主体的に対応することで初めて信頼回復できる。権限を持っていた事務総長経験者らは、どんな指示が行われ、どのように運用してきたかなどを明らかにすべきだ。説明責任を果たす観点から、審査会は公開したほうがよい」と述べました。

維新 遠藤国対委員長「早い段階で開催すべき」

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、記者団に対し「わが党の要求は80%以上はのんでいただいた。みずから出席を望んで出てこなかったことは残念だが、説得にあたった自民党の皆さんには『お疲れ様』と言う以外にない。自民党の浜田国会対策委員長に確認したところ、『審査会は来週中に必ず行う』と聞いており、早い段階で開催すべきだ」と述べました。

そのうえで「野党として審査会の公開は求めていく。より誠実に対応している姿勢が大事で、公開しなければ、国民に対する不透明さが増すのではないか。堂々と自分の認識を示し、国民の疑念を晴らすよう努めてもらいたい」と述べました。

公明 山口代表 “自民の対応が問われている”

公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で「自民党が全体として説明責任をどう果たし、政治の信頼回復に結び付けるのか対応が問われている。党として注視しながら対応にあたりたい」と述べました。

公明 高木政調会長「本人から申し出は歓迎 説明責任を」

公明党の高木政務調査会長は、記者会見で「本人から申し出の意向が示されたことは歓迎したい。それぞれの議員にはしっかりと説明責任を果たしてもらいたい。開催の形式については政治倫理審査会の幹事会で協議してもらいたい」と述べました。

共産 田村委員長「5人で終わらせることはできない」

共産党の田村委員長は、記者会見で「自民党の対応は不誠実だ。やっと衆議院で5人が出ることになったのは是とするが、ここで終わらせることはとてもできない。野党側が求めた全員がきちんと説明すべきだと引き続き求めていく。国民が真相究明を求めているので、非公開の開催はありえない。裏金が誰の指示で、いつからつくられたのか、すべて国民の前に明らかにし、関わった議員がどう責任を取るのか、真剣に議論してほしい」と述べました。

国民 玉木代表 “森氏の参考人招致を”

国民民主党の玉木代表は、党の両院議員総会で「安倍派の事務総長経験者も出席の意向があるということでそれで十分かは議論があるが、しっかりと説明してもらたい。二階元幹事長にも出席してもらう必要があるし、森 元総理大臣は審査会には呼べないが、予算委員会参考人として来てもらい、なぜこうした運用が始まったのかやお金は何に使ったのか説明してもらうのが筋だ。引き続き求めていきたい」と述べました。

社民 福島党首「全員が出るべき」

社民党の福島党首は記者会見で「政治倫理審査会には、野党側が求めている全員が出るべきだ。なぜ萩生田氏や二階氏が出てこないのか。自民党がきのう、2人だけの出席を伝え、その後、ほかの人がパラパラと『自分も出る』と言っている状況は、説明を尽くそうとはしていない。自民党に強く抗議する」と述べました。