バブル世代(2024年2月27日『高知新聞』-「小社会」)

 先週、友人らと一献傾ける機会があった。皆、バブル期に大学生だった世代。ちょうど前日に日経平均株価がバブル超えを果たしたこともあって、ひとしきり昔の話題で盛り上がった。

 いま振り返っても異常な時代だった。例えば就職。超売り手市場で、業種によっては就職活動は学生ではなく企業がするものだった。ただしその実、当時求められた「企業戦士」の確保だった面は否定できない。

 この頃、発売された栄養ドリンクが「24時間戦えますか」を宣伝文句に脚光を浴びたのがそれを象徴する。24時間働くなど、いまならもってのほかだが、当時は格好良ささえ漂わせていた。

 意気揚々と就職したものの、すぐにバブルが崩壊。数々の悲哀を体験してきた世代でもある。倒産や吸収合併、大量採用されたがゆえに真っ先にリストラにもあった。

 専門家いわく、バブル世代の特徴は四つという。「コミュニケーション能力が高い」「『根拠なき自信』がある」「会社への依存心が高い」「見栄(みえ)を張りたがる」(相原孝夫著「バブル入社組の憂鬱(ゆううつ)」)。苦笑させられるが、乗りと勢いはあるんだと根拠なき自信で捉えた。

 企業でも官庁でもバブル世代が責任世代になった。東京で同じく仲間と酒を酌み交わした知人がいて、最後はこう締めくくったらしい。「先頭に立って何とか前を切り開いていこう」。世代の矜持(きょうじ)、根拠なき自信と言うことなかれ。