日経平均株価が、バブルの絶頂期につけた史上最高値を更新しました。日本企業の好調な業績や、企業の変革への投資家の期待などが背景にあります。一方、年明け以降、急激なペースで進む株高に、過熱感を警戒する声もあります。
専門家やエコノミストに、いまの株価をどう見ているのか、判断の根拠となるデータとあわせて聞きました。(経済部記者 坪井宏彰)
最高値を更新
取り引き時間中の最高値も更新、市場は、歴史的な節目の更新に沸きました。
株価上昇の要因は
株価上昇の要因について、市場関係者からは、さまざまな好材料が重なった結果だという指摘が出ています。
海外マネーがけん引 中国からシフトも?
こうした要因を背景に、日本の株式市場をけん引しているとされるのが海外投資家です。
いま、海外投資家は、日本の株式の売買高の60%以上を占め、10%台だったバブル期と比べて相場への影響力が大きくなっています。
東証のまとめでは、海外投資家は、ことしに入って7週連続で日本株を買い越しました。
日本株への期待の高まりは、国内最大手の資産運用会社、野村アセットマネジメントの調査結果からもうかがえます。
この調査は、300以上の海外投資家に日本株の評価を「ポジティブ」か「ネガティブ」かで尋ねるものです。
おととしは、「ネガティブ」が半数近くでしたが、去年夏頃には一転、「ポジティブ」が優勢になったといいます。
また、こうした海外投資家が、中国から日本へとマネーをシフトする動きも強まっているといいます。
不動産不況などを背景に、中国市場では株価の下落傾向が顕著になっています。
その結果、これまでアジアの中で中国に集中していた投資マネーが、日本の株式に引きつけられているというのです。
実際、マネーの流れを分析しているIIF=国際金融協会のまとめでは、去年(2023)1年間に中国の株式・債券市場から流出した外国マネーは845億ドル、日本円で12兆5000億円に上っています。
分かれる見方
バブル期、日本企業のPERの水準は70倍でしたが、現在は16倍程度。
いまの株価は決して高くはないと解説します。
日本企業の経営について長年研究してきた一橋大学の伊丹敬之名誉教授は、いまの株価自体は驚くような水準ではないと見ています。
その上で、今後は日本企業の経営姿勢が問われると指摘します。
この20年、大企業の株主への配当金額は年々増えている一方、設備投資額はほとんど変わらず、2021年度には配当金額を下回ったことに留意すべきだとしています。
株価の史上最高値の更新は、日本経済にとって明るい材料であることは確かです。
ただ、その数字だけではなく、日本企業が成長を続け、日本経済が次のステップに進むことができるのか、冷静に見ていくことも必要となりそうです。