「カップヌードル」などを扱う小売業者に対し、店頭での販売価格を全国一律で同額に引き上げることを強要した疑いがあるとして、公正取引委員会が近く、食品大手「日清食品」(大阪市)に独占禁止法に基づき、警告の行政指導を行う方針を固めた。商品の値下がりを防ぐ目的とみられ、公取委は同社の行為が独禁法で禁じる「再販売価格の拘束」に当たる恐れがあると判断した。
関係者によると、日清食品は2022年と23年の2回、卸業者を使うなどして全国のスーパーやドラッグストアなどの小売業者に、消費者への販売価格を引き上げ、全国で同一価格にするよう求めた。値上げ後の価格は同社が決めており、ライバル業者の動向を気にする業者には、「ほかの店舗にも同様の要請をしている」などと説明していたという。さらに、小売業者が特売セールを企画した際の店頭価格も同社が決めていたとされ、消費者が安い商品を提供する店舗を選択する機会が失われたとみられる。
同社は要請後の22年6月と23年6月に5商品を含む主力商品の価格について、それぞれ5~13%アップしていた。有力な食品メーカーである日清食品との関係悪化を恐れた小売業者側は、値上げ要請に従ったという。
原材料費や燃料費などの高騰を受け、同社から卸業者への出荷価格は上昇。その一方で、小売業者による消費者への安売りが進めば、卸業者から同社へ強い値下げ圧力がかかる可能性があり、同社は全国一律の価格の引き上げを図ったとみられる。