公取委 企業公表 “多くの取引先と協議せず取引価格据え置き”(2024年3月15日『NHKニュース』)

 小売業

 

人件費の増加や原材料価格の上昇が続く中、公正取引委員会は、中小企業が大手企業などとの取引で、コストの上昇分を適正に価格転嫁できているか調査しました。その結果、多くの取引先と協議をせずに取引価格を据え置いたことなどが確認されたとして、10社の企業名を公表しました。

公正取引委員会は去年5月以降、11万社余りを対象に、賃上げに伴う人件費の増加や原材料価格などの上昇分を適切に価格転嫁できているか、書面や立ち入りなどによる調査を実施しました。

その結果、多くの取引先と協議をせずに取引価格を据え置いたことなどが確認されたとして、15日、10社の企業名を公表しました。

企業名が公表されたのは、イオングループの施設管理会社のイオンディライト、▽物流サービスのSBSフレック、▽電子部品大手の京セラ、▽物流大手の西濃運輸、▽輸送機器メーカーのソーシン、▽自動車大手のダイハツ工業、▽大手医薬品卸の東邦薬品、▽物流サービスの日本梱包運輸倉庫、▽医薬品や日用品などの卸売りのPALTAC、▽三菱ふそうトラック・バスの10社です。

このほかにも、取引先からの指摘は多くはなかったものの、積極的に協議をせずに取引価格を据え置くなどしていた8100社余りに対し、すでに注意喚起の文書を送ったということです。

公正取引委員会は、今回の公表が独占禁止法や下請け法の違反や、そのおそれを認定したものではないとする一方で、公表された企業には、取引先との間で価格転嫁を協議する場を積極的に設けるよう、呼びかけていくことにしています。

 

ダイハツ三菱ふそう価格転嫁せず 公取委が10社を公表 「地位乱用」で独禁法違反の恐れ(2024年3月15日『産経新聞』)

 

 公正取引委員会は15日、人件費などのコスト上昇分を取引価格に上乗せする価格転嫁を巡り、下請け業者と協議せずに据え置くなどしたとして、ダイハツ工業など計10社を公表した。独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」につながる恐れがあると判断した。自動車業界では日産自動車による「下請けいじめ」が発覚したばかりで、公取委の指摘は改めて大手の立場が強い業界体質の改善を迫ることになる。

 物価高の中、今春闘では大手企業で高水準の賃上げが相次ぐ一方、中小企業は価格転嫁が進まず、賃金上昇の原資が乏しいと懸念されている。公取委は社名の公表で自発的な協議を促す狙いだ。

 10社には三菱ふそうトラック・バスも含まれた。他は京セラ、西濃運輸など。価格交渉の場で「相当数の取引先について協議を経ない据え置きなどが確認された」という。