中国からの輸出のため港に並ぶ電気自動車(4月、中国江蘇省)=ロイター
中国は電気自動車(EV)や太陽光パネルをつくりすぎ、不当な安値で輸出しているのではないか。そんな懸念が米欧を中心に強まっている。中国は自国が抱える問題に真摯に向き合い、過剰生産の解消に努めるべきだ。
G7が足並みをそろえて中国の産業政策に注文をつけるのは異例だ。共同声明には「過剰生産能力の潜在的な悪影響を引き続き監視する」と明記した。
中国は強く反発している。中国外務省の報道官は記者会見で「G7は中国のいわゆる過剰生産能力を騒ぎ立て、中国の新エネルギー製品に制限を課そうとしている」と非難した。
中国経済は不動産不況を背景に深刻な需要不足に陥っている。
本来は国内の需要を喚起する政策に軸足を置くべき局面だ。しかし、中国政府はEVなど新エネ産業に巨額の補助金を振り向け、供給サイドのてこ入ればかりに力を注いでいるようにみえる。
結果として、国内の需要を上回るペースで供給が増え、安価な製品が世界の市場にあふれ出ている面は否定できない。
一方、バイデン米政権は中国製EVへの制裁関税を、8月1日からいまの4倍にあたる100%に引き上げる案を公表した。鉄鋼・アルミ製品や太陽光パネルなどの税率も大幅に上げる。
不公正な取引慣行への制裁として、一方的に関税を上げられる米国の通商法301条に基づく措置だ。11月の大統領選を意識した自国産業の保護策であり、自由貿易に反すると言わざるを得ない。