日本航空で運航の安全に関わるトラブルが相次いでいる。
鳥取氏は厳重注意の後、記者団に対し「繰り返し不安全事象が起きていることに社長として責任を感じている。共通の要因が存在するとは思うが、しっかり分析して対策につなげたい」と述べた。
航空機のトラブルは多くの人命を巻き込む重大事故に発展しかねない。日航は自らの責任の重さを自覚し、改めて安全意識の徹底を全社で図らなければならない。
トラブルは国内ばかりでなく海外でもあった。昨年11月と今年2月には管制官の指示を取り違えるなどして滑走路に誤進入したり、滑走路手前の停止線を越えたりした。短期間でこれだけのトラブルが続発するのは異常事態といっていい。
中でも、福岡空港の事案は深刻だ。国交省によると、日航機のパイロットが管制官による停止の指示を正しく復唱していなかったという。管制官も日航機の復唱内容に不十分な内容があると指摘しておらず、両者とも基本動作を怠っていた。
日航は羽田衝突事故で乗客に死者を出さず、国内外から称賛を受けた。業績も好調で事故による影響は感じられない。
だが航空機の運航では、わずかな気の緩みやヒューマンエラーが大事故につながる可能性がある。4月1日に社長に就任した鳥取氏はそのことを肝に銘じ、再発防止策の策定や安全意識の徹底に強いリーダーシップを発揮してほしい。