相次ぐ米兵の性的暴行事件に抗議 沖縄・宜野湾市議会と嘉手納町議会 全容解明求める意見書を可決(2024年7月5日『沖縄タイムス』)

米兵による性的暴行事件に抗議する決議と意見書を全会一致で可決する嘉手納町議会=5日午前、沖縄県嘉手納町嘉手納町役場議場
 米軍基地を抱える沖縄県宜野湾市議会(呉屋等議長)と嘉手納町議会(仲村渠兼栄議長)は5日午前、それぞれ臨時会を開き、米兵による少女誘拐暴行事件などに抗議し、日米関係機関に被害者の補償や事件の全容解明を求める意見書をそれぞれ全会一致で可決した。
 市の中心部に米軍普天間飛行場がある同市議会は昨年12月に事件が発生し、3月の起訴後も外務省や県警から地元などに情報提供がなかったことを問題視。「県民に強い衝撃と不安を与えている」と批判した。被害者家族に配慮した公表や再発防止など4項目を求めた。
 町域の82%を米軍嘉手納基地が占める同町議会は事件に対し、「卑劣な蛮行は被害者の人権を踏みにじる重大かつ悪質な犯罪」と相次ぐ米兵による性犯罪を非難した。
 これまで米兵を巡る事件や事故のたびに抗議してきたことを踏まえ、「米軍の教育や管理体制は不十分」と指摘。日米両政府や地元自治体などでつくる実務者会議「米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキングチーム(CWT)」の再開も求めた。
 また、町議会は嘉手納基地に駐機を続けていた海軍仕様の輸送機CMV22オスプレイが、今月10日に飛行再開したことにも抗議し、オスプレイ全機の飛行停止などを求める意見書を全会一致で可決した。
 

相次ぐ在沖米軍兵による性的暴行事件に対し厳重に抗議する意見書
 
令和5年12月24日、嘉手納基地所属の米空軍兵が沖縄本島中部において、16歳未満の少女を車で誘拐し自宅に連れ去り、同意なく性的暴行を加える事件が発生していたことが6月25日の報道により明らかになった。
那覇地検が今年3月下旬にわいせつ目的誘拐及び不同意性交等罪で起訴していたにも関わらず、起訴から約3か月もの間、外務省は県警や那覇地検の判断を理由に、県・防衛省に情報提供していなかったことが分かった。
また、今年5月下旬にも在沖米海兵隊員が沖縄本島の建物内で女性の首を後ろから絞め性的暴行に及び、怪我を負わせたとして不同意性交致傷の容疑で県警が逮捕していたことも発覚した。
このような卑劣な蛮行は被害者の人権を蹂躙する重大かつ悪質な犯罪であり、断じて許すことはできない。さらに基地周辺住民に与えた衝撃と不安は計り知れず最も厳しい言葉で抗議する。
本土復帰後、令和4年度までの50年間で米軍人・軍属等による殺人や強制性交等の凶悪犯は584件、強制わいせつなどの風俗犯は79件にも上り、後を絶たない状況にある。
本町議会は米軍人・軍属等による事件・事故が発生するたび、繰り返し綱紀粛正の徹底及び抜本的かつ具体的で実効性のある再発防止策を講じるよう強く求めてきたが、またしても卑劣で悪質な事件が発生したことは、米軍自らの組織に対する教育や管理体制が不十分であり、これまでの対策は実効性がないものと断じざるを得ない。
被害者やご家族、関係者のプライバシー保護は最優先しなければならないが、情報提供がなければ自治体は住民を守る対策を講じることもできず、今回、迅速な情報提供がなかったことは誠に遺憾である。
よって、嘉手納町議会は町民の生命、安全安心で平穏な生活を守る立場から厳重に抗議するとともに、下記事項の速やかな実現を図るよう強く要望する。
1 速やかに被害者への謝罪及び完全な補償、丁寧な精神的ケアを行うこと。
2 軍人・軍属等の管理・教育を徹底し、綱紀粛正を図ること。
3 抜本的かつ具体的で実効性のある再発防止策を講じ、速やかに公表すること。
在日米軍に係る事件・事故が発生した場合は、基地周辺自治体へ速やかに情報提供すること。
5 「米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキングチーム(CWT)」を再開すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年7月5日
 
(あて先)内閣総理大臣 外務大臣 防衛大臣 内閣官房長官(沖縄基地負担軽減担当)沖縄及び北方対策担当大臣 外務省特命全権大使(沖縄担当) 沖縄防衛局長 沖縄県知事