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写真:LIMO [リーモ]
生きていく上で、切っても切れないのがお金の問題です。電気・ガス価格激変緩和対策事業も2024年5月使用分までとなり、今後の光熱費上昇に頭を悩ませる方もいるでしょう。
老後を迎えたあとも、お金の悩みは付きまとってきます。老後いくらあれば安心することができるのか、子供たちからお金を借りることなく過ごすことができるのか、このような不安を持たれている方も多いです。
3000万円もあれば、悠々自適な老後の生活を過ごすことができそうですが、はたしてそうでしょうか。収入が限られる中、貯金を切り崩す生活を送るのは少なからずストレスを抱えるものです。
今回は老後生活の柱となる「厚生年金・国民年金」の平均受給額を確認しながら、70歳代夫婦世帯の貯蓄事情をチェックしていきます。ご自身の貯金額等と照らし合わせながら、確認してみてください。
※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【厚生年金と国民年金】平均月額はいくら?一覧で見る
●厚生年金の平均受給額
・70歳:14万1350円
・71歳:14万212円
・72歳:14万2013円
・73歳:14万5203円
・74歳:14万4865円
・75歳:14万4523円
・76歳:14万4407円
・77歳:14万6518円
・78歳:14万7166円
・79歳:14万8877円
●国民年金の平均受給額
・70歳:5万7320円
・71歳:5万7294円
・72歳:5万7092円
・73歳:5万6945円
・74歳:5万6852円
・75歳:5万6659円
・76歳:5万6453円
・77歳:5万6017円
・78歳:5万5981円
・79歳:5万5652円
厚生年金の平均は14万円台、国民年金の平均は5万円台となっています。
ちなみに、全年代をあわせた平均受給額は以下のとおりです。
●厚生年金の平均年金月額
・〈全体〉平均年金月額:14万3973円
・〈男性〉平均年金月額:16万3875円
・〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
●国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額
・〈全体〉平均年金月額:5万6316円
・〈男性〉平均年金月額:5万8798円
・〈女性〉平均年金月額:5万4426円
国民年金は1万円未満~7万円以上、厚生年金は1万円未満~30万円以上とそれぞれ個人差があります。
特に、厚生年金は現役時代の給与や賞与などの報酬と年金加入期間が年金額に影響するため、より個人差が大きくなります。
自分が将来受け取る見込年金額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」にて必ず確認しておきましょう。
次章では70歳代の貯蓄事情に迫ります。
70歳~79歳「貯蓄3000万円以上」を達成する世帯はどれほどか
「貯蓄3000万円以上」を達成する世帯の割合に注目しましょう。
●【70歳代・二人以上世帯】の貯蓄3000万円の割合
・19.7%
●【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値
・平均:1757万円
・中央値:700万円
●【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表】(金融資産を保有していない世帯を含む)
・金融資産非保有:19.2%
・100万円未満:5.6%
・100~200万円未満:5.1%
・200~300万円未満:4.3%
・300~400万円未満:4.7%
・400~500万円未満:2.5%
・500~700万円未満:6.2%
・700~1000万円未満:5.8%
・1000~1500万円未満:10.2%
・1500~2000万円未満:6.6%
・2000~3000万円未満:7.4%
・3000万円以上:19.7%
平均貯蓄額は1757万円ですが、より実態に近い中央値となると700万円まで下がります。
このうち、「貯蓄3000万円以上」を保有する世帯の割合は19.7%となりました。
まだ働く70歳代も含まれますが、すでに貯蓄の取り崩しが進んでいる世帯も多いと考えられます。現に、貯蓄ゼロの世帯が19.2%もいます。
貯蓄が3000万円あったとしても、取り崩しのペースによって安心とは言い切れないものです。
これからの年金制度がどうなるかはわかりませんが、2024年度の年金額は2.7%の増額となりました。「年金が上がることもあるの?」と意外に思われるかもしれませんが、単純に喜べない背景もあるのです。
「年金が上がることもあるんだ」2024年度は2.7%の増額も喜べない理由
公的年金は、賃金や物価の動向を鑑みて毎年度改定されます。2024年度は2.7%の増額となり、その初回支給日が6月14日に迫っています。
厚生労働省が公表する2024年度の年金額の例を見てみましょう。
●国民年金
国民年金の場合、満額で6万8000円となりました。前年度比+1750円です。
●厚生年金
厚生年金の場合、夫婦2人のモデル例として23万483円と算出されました。こちらは前年度比+6001円です。
モデル例とは、以下のような夫婦形態が想定されています。
平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で 40年間就業した場合、受け取り始める「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」
つまり、
・夫(厚生年金+国民年金):16万2483円
・妻(国民年金):6万8000円
の合計となるので、ほんの一例であることがわかります。
いずれにしても、年金額が2.7%の増額になれば嬉しく思うシニアもいるはずですし、現役世代も「年金制度が危ぶまれていたけど、上がることもあるんだ」という感想を持たれるかもしれません。
しかし、物価上昇率を下回るため実質的には目減りとなる点には留意が必要です。
食品や生活必需品の値上げが続き、6月使用分から光熱費も飛躍的に上昇すると予想される昨今。年金の上昇額がこれを下回るため、生活が楽になるとはいえません。
せっかく増額となる年金ですが、「増えた」と肌で感じることは難しいかもしれませんね。
悠々自適なセカンドライフを目指して
今回、老後の資金を確認してみて皆さんはどのように感じられましたか? 最低限の老後の生活を過ごすことができれば、多少の貯金でもやりくりすることは可能かもしれません。
しかし、老後も節約三昧では果たして楽しいのでしょうか。どんな老後を過ごすかは自分次第ですが、せっかくですので悠々自適なセカンドライフを過ごしてみたいと思いませんか?
残念なことに、低金利の今、貯金だけで老後の生活を充実させることは難しくなっています。貯金の目減りスピードを緩やかにするには、老後も貯蓄の一部を資産運用に回すなどの対策もひとつです。
非課税制度であるNISAやiDeCoに投資してみるのもいいですね。
今から1万円でも投資に回すことができれば、貯金よりも増えている可能性があるかもしれません。どんな小さな一歩でも良いので、老後の不安を無くすためにまずは情報収集から動いてみてはいかがでしょうか。
参考資料
・厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
杉田 有毅