【老後破産?】70歳代おひとりさま「貯蓄ゼロ」が4分の1以上に…現代シニアの貯蓄事情&年金受給額をチェック(2024年4月19日『LIMO [リーモ]』)

2024年1月19日、厚生労働省より2024年度の年金額が公表され、前年度比2.7%の増額となりました。

 

【円グラフ・一覧表】「70歳代・ひとり世帯はいくら貯めてる?」&「厚生年金・国民年金の受給額は?」円グラフと一覧表で見る

ただし、増額が物価上昇率を下回っていることから、年金は実質的な目減りと捉えられているようです。

また、2024年3月に公表された内閣府「生活設計と年金に関する世論調査」によれば、老後「全面的に公的年金に頼る人」は26.3%となっており、7割以上の人は公的年金のみに頼らずに生活すると考えられます。

なかには70歳代になってからひとり暮らしになる方もいるかもしれません。では、70歳代単身世帯の平均的な貯蓄と年金額はいくらでしょうか。

今回は70歳代・ひとり世帯の貯蓄額と、現代シニアの厚生年金と国民年金をみていきます。

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

【70歳代・ひとり世帯】貯蓄ゼロの割合は何パーセント?
70歳代・ひとり世帯で「貯蓄ゼロ」の方はどれくらいいるのでしょうか。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」より、70歳代・ひとり世帯の貯蓄事情を確認します(金融資産を保有していない世帯を含む)。

●【70歳代・ひとり世帯】の貯蓄ゼロ(非保有)の割合
 ・26.7%
●【70歳代・ひとり世帯の貯蓄額】平均と中央値
 ・平均:1529万円
 ・中央値:500万円
70歳代で貯蓄ゼロの方は26.7%となりました。

一方で、貯蓄が3000万円以上の世帯も17.3%いることから、70歳代での貯蓄額は二極化していることが分かります。

老後は毎月の生活費だけでなく、通院費や住宅のリフォーム、冠婚葬祭費なども確保しておく必要があります。

今のうちに家計を見直して、使いすぎている項目はないか確認してみましょう。

ここからは、老後の収入源となる「年金」の受給額についてみていきます。現代シニアが受け取っている平均月額を一覧にしているので、ぜひ最後までご覧ください。

【厚生年金と国民年金】平均月額はいくら?
では、年金は月いくら受給しているのでしょうか。

厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、現代シニアの平均的な年金額も見ていきましょう。

●厚生年金の平均年金月額
 ・〈全体〉平均年金月額:14万3973円
 ・〈男性〉平均年金月額:16万3875円
 ・〈女性〉平均年金月額:10万4878円
国民年金(老齢基礎年金)の受給額
 ・〈全体〉平均年金月額:5万6316円
 ・〈男性〉平均年金月額:5万8798円
 ・〈女性〉平均年金月額:5万4426円
国民年金部分を含む

国民年金で5万円台、厚生年金で14万円台でした。

国民年金のみを受給する場合は月額5万円程度の収入となります。

現役時代に会社員や公務員など厚生年金に加入していた方は、国民年金に上乗せする形で厚生年金を受け取ります。

厚生年金は国民年金に比べると受給額が多いですが、年金のみで生活するにはやや心もとない金額です。

とはいえ、厚生年金の受給額には個人差があります。ご自身の年金額を詳しく知りたいという方は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で見込み額を確認してみましょう。

【2024度の年金額】2.7%増額へ。年金はいくらもらえる?
年金額は毎年度改定されます。

厚生労働省より公表された、2024年度最新の年金額の例を見てみましょう。

●2024年度の年金額の例(国民年金と厚生年金)月額
 ・国民年金(満額):6万8000円(+1750円)
 ・厚生年金※:23万483円(+6001円)
※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で 40年間就業した場合、受け取り始める「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」。

40年間、全ての保険料を納付した場合に受給できる国民年金の満額は6万8000円。厚生年金はモデル夫婦2人分の受給額例です。

厚生年金を受け取る夫(または妻)1人分の年金額は、23万483円-6万8000円=16万2483円となります。

70歳からの老後生活をイメージしよう
これまで70歳代・ひとり世帯の「貯蓄ゼロ(非保有)の割合」と年金額を確認してきました。

近年は「おひとりさま」を選択する人も増えているほか、70歳代以降は配偶者との別れから単身世帯となる方もいるでしょう。

年金について現役時代から意識する機会は少ないかもしれませんが、できるだけ早いうちから老後に備えることが大切です。

将来の不測の事態に備えるため、自身に適した貯蓄方法を考えてみましょう。

●【ご参考】70歳代・ひとり世帯の貯蓄額一覧表(金融資産を保有していない世帯を含む)
 ・金融資産非保有:26.7%
 ・100万円未満:5.8%
 ・100~200万円未満:4.3%
 ・200~300万円未満:4.1%
 ・300~400万円未満:3.3%
 ・400~500万円未満:2.5%
 ・500~700万円未満:6.6%
 ・700~1000万円未満:5.1%
 ・1000~1500万円未満:8.6%
 ・1500~2000万円未満:5.3%
 ・2000~3000万円未満:8.2%
 ・3000万円以上:17.3%

参考資料
 ・金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
 ・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
 ・厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
 ・内閣府「生活設計と年金に関する世論調査

中本 智恵

 

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