65歳以降【老齢年金世代】家計・貯蓄・年金額の「平均」はいくら?(2024年4月26日)

老齢年金「国民年金・厚生年金」の受給開始は原則65歳からとなります。

本章では、65歳以上世帯の貯蓄額を見ていきます。

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、65歳以上世帯のうち「二人以上世帯」の貯蓄額は次のとおりです。

 ・平均貯蓄額:2414万円
 ・中央値:1677万円
上記のとおり平均貯蓄額と中央値では737万円もの開きがあります。

平均貯蓄額は一部の大きい、あるいは小さい数値に引っ張られてしまいます。

一方、中央値は貯蓄額データを小さい(大きい)順に並べた時に真ん中にくる数値です。

平均値より実態を反映すると考えられるため、65歳以上世帯の貯蓄額として参考にすべきは中央値といえるでしょう。

内訳を見ると、貯蓄額2000万円を超える世帯が全体の42.5%を占めている一方で、貯蓄額1000万円に満たないシニア世帯は約36%です。

シニアの貯蓄事情の現状を確認しましたが、「必要な貯蓄額」、「安心できる貯蓄額」は世帯によって異なるものです。

貯蓄が3000万円以上あっても、年金収入が少なく毎月20万円を取り崩せば約12年で貯蓄は底をついてしまいます。

逆に、貯蓄が1000万円未満であっても、年金収入だけで毎月の生活費をカバーできれば、基本的に貯蓄の取り崩しは必要ありません。

では、老後の主な収入源となる公的年金はいくら位もらえるのでしょうか。

厚生労働省の資料を元に次章で年金受給額をチェックしていきます。 

【老後の収入】厚生年金・国民年金の「平均受給額」はいくら?
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、平均的な厚生年金と国民年金の受給額を見ていきます。

●厚生年金の平均受給額(月額)
〈全体〉平均年金月額:14万3973円

 ・〈男性〉平均年金月額:16万3875円
 ・〈女性〉平均年金月額:10万4878円
国民年金部分を含む

国民年金の平均受給額(月額)
続いて国民年金の受給額を確認しましょう。

国民年金の受給額(月額)

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:5万6316円

 ・〈男性〉平均年金月額:5万8798円
 ・〈女性〉平均年金月額:5万4426円
上記のとおり、厚生年金(国民年金含む)と国民年金では平均月額が大きく異なります。

主に会社員や公務員などが加入する厚生年金は、国民年金に上乗せして加入する仕組み上、国民年金より受給額が高い傾向にあります。

しかし、厚生年金部分は現役時代の年金加入期間と給与や賞与などの報酬により決定するため、個人差が大きいものであることを把握しておきましょう。

老後対策を進める上で、老後の収入がどれくらいかは非常に重要な情報です。

ご自身の年金見込額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しておきましょう。

最後に、年金生活における生活費の平均を見ていきます。

【老後の生活費】65歳以上世帯の「平均的な支出額」はいくら?
2024年3月に公表されたの総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支は次のとおりです。

●65歳以上「無職世帯」家計の収支
実収入:24万4580円

 ・うち社会保障給付:21万8441円
非消費支出:3万1538円

消費支出:25万959円

 ・うち食料:7万2930円
 ・うち光熱・水道:2万2422円
 ・うち保健医療:1万6879円
 ・うち交通・通信:3万729円 など
月の収支:▲3万7916円

平均的な年金暮らしでは、毎月の家計収支が約3万8000円の赤字となります。

節約して赤字を回避したいところですが容易ではないでしょう。

上記はあくまでも平均ですので、自分の場合はどうなるかを想定しておく必要があります。

 まとめにかえて

本記事では65歳以上無職世帯の貯蓄・年金額に・生活費に関するデータを眺めてきました。

老後に向けていくら準備すべきかは世帯ごとに異なるものです。

まずは、老齢年金の受給見込額を確認した上で、老後生活の家計収支をシミュレーションしてみると良いでしょう。

毎月の赤字額を把握できれば、最低限必要な老後資金が見えてくるはずです。

参考資料
 ・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」
 ・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
 ・総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」