◆名護市長「移設を認めるということではない」
渡具知氏は終了後、記者団に、基地使用協定の締結のほか、工事に伴う交通渋滞の緩和や廃弾処理施設の撤去を求めたことを説明。政府側は協定について「適切に対応したい」と答えたという。渡具知氏は「市民の不安を払拭し、生活環境を守る観点から協議を行った」と話し、「移設を認めるということではない」と強調した。
◆政府は新基地建設を前提として説明
政府は1月、県の反対を押し切る形で、辺野古新基地建設に関する代執行に踏み切り、護岸工事が本格化。これを受け、名護市は2月に「安全安心な生活環境の確保」(市担当者)に向け、協議の場を設けるように政府に求めていた。基地使用協定は、市が1999年に辺野古移設を受け入れた際の条件の一つだった。
◆政府と沖縄県に「対話の場」なく
協議に参加していない沖縄県の玉城デニー知事は会見で「(協議の)方向性は注視したい」と静観する姿勢で、県担当者は東京新聞の取材に「名護市から説明はなく、詳細を把握していない」と話した。政府と県との間では、普天間飛行場の負担軽減策を話し合うために宜野湾市を交えた作業部会があるが、玉城氏が求める対話の場は設置されていない。
沖縄国際大の前泊博盛教授は「辺野古移設は名護市だけでなく、県全体の問題。頭越しに協議するのはおかしい」と批判。基地使用協定についても「県を抜きにして協定を結べば将来に禍根を残す」とも語った。