韓国の警察などでつくる合同捜査本部は30日、「非常戒厳」を宣言したユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の拘束令状を裁判所に請求しました。
韓国で現職の大統領に対する拘束令状の請求は初めてですが、ユン大統領の弁護団は令状の請求は不当だとする意見書を裁判所に提出し、今後は裁判所の判断が注目されます。
今月3日に「非常戒厳」を宣言した韓国のユン・ソンニョル大統領について、警察や政府高官などの捜査を担う「高位公職者犯罪捜査庁」などでつくる合同捜査本部は、30日午前0時にソウル西部地方裁判所にユン大統領の拘束令状を請求しました。
韓国で現職の大統領に対する拘束令状の請求は初めてです。
これまで合同捜査本部はユン大統領について内乱などの疑いで捜査し、3回にわたって出頭を要請しましたが、大統領はいずれも応じていません。
ユン大統領の弁護団は30日午後、拘束令状の請求は不当だとする意見書を裁判所に提出したことを明らかにしました。
弁護団は記者団に対し、高位公職者犯罪捜査庁には内乱罪を捜査する権限はないと主張したほか、ユン大統領の弾劾が妥当かどうかを判断する憲法裁判所の裁判への対応を優先する考えを強調しました。今後は、拘束令状を出すかどうか、裁判所の判断が注目されます。
“ユン大統領の弁護士 捜査権限のない機関の請求” 連合ニュース
警察などの合同捜査本部がユン・ソンニョル大統領の拘束令状を裁判所に請求したことについて、韓国の通信社、連合ニュースは、「ユン大統領の弁護士は、捜査権限のない機関の請求だと述べた」と伝えています。
また、ユン大統領の弁護団は、これまで複数の捜査当局による捜査が同時に続いていることに、「問題が多い」との認識を示すとともに、捜査よりも弾劾裁判への対応を優先する考えを示しています。