日本国憲法の施行から77年を迎えた。衆院憲法審査会では、緊急時に国会議員の任期延長を可能にするための改正を急ぐべきだとの声が強まっている。各党は議論の停滞を打破し、危機下での政府や国会の役割に関する考え方を有権者に示してもらいたい。
現憲法は1947年5月3日に施行され、「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」の3つの原則が戦後の復興と経済成長の土台となった。こうした基本原則を堅持し、次の世代にしっかりと引き継いでいかねばならない。
一方で日本は近年、深刻な大災害や新型コロナウイルス感染症など数々の困難に直面した。中国、ロシア、北朝鮮など我が国を取り巻く国々の軍備増強や圧力にどう備えるかも、先送りできない懸案として浮かび上がっている。
衆参両院の憲法審は、こうした国家的課題にどう対応すべきかをめぐり自由討議を続けてきた。昨年の通常国会で衆院憲法審は過去最多に並ぶ計16回開かれた。各会派による主張の論点整理にこぎ着けたのは重要な成果といえる。