4年前、福島県会津若松市の猪苗代湖で沖合にいた親子など3人を操縦していたボートに巻き込んで死傷させたとして、業務上過失致死傷の罪に問われた元会社役員の裁判で、2審の仙台高等裁判所は「安全確認をしたとしても、被害者たちを確実に発見できたと認めるのは困難で、過失を認めることはできない」として禁錮2年とした1審の判決を取り消し、無罪を言い渡しました。
2020年9月、会津若松市の猪苗代湖でボートを操縦し、レジャーのためライフジャケットを着けて沖合に浮いていた親子など3人を巻き込んで8歳の男の子を死亡させたほか、母親など2人に大けがをさせたとして、業務上過失致死傷の罪に問われました。
弁護側は「前方や左右を確認していたが、発見するのは困難だった」などと無罪を主張しましたが、1審の福島地方裁判所は「湖に浮かんでいる人がいることは予測可能で、前方や左右の見張りを十分に行っていれば、被害者を発見して衝突を回避できた」として、禁錮2年を言い渡しました。
弁護側は控訴し、2審でも改めて「見張り行為に落ち度はなかった」と主張していました。
16日の2審の判決で仙台高等裁判所の渡邉英敬裁判長は「現場は遊泳禁止区域で、救助を求めたり、人の存在を予想させる水上オートバイなどが周囲に存在することがない状況のなかで、被害者を発見できたと想定するのは相当困難だった」と指摘しました。
その上で「見張りを行い、前方左右の安全確認をしたとしても、操縦席から被害者たちを確実に発見できたと認めるのは困難で、事故を回避することができず、過失を認めることはできない」として1審判決を取り消し、無罪を言い渡しました。
この事故は2020年9月に猪苗代湖の中田浜沖合で、ライフジャケットを着て湖面に浮かんでいた4人にプレジャーボートが突っ込み、当時8歳の豊田瑛大君が死亡、母親が足を切断するなど、2人が重傷を負ったものです。
16日の控訴審判決で仙台高裁は、一審判決を破棄し、無罪を言い渡しました。