規正法改正、隔たりあらわ…自民案に公明も「ゼロ回答だ」(2024年4月27日『読売新聞』)

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初開催された衆院政治改革特別委員会で意見表明を聞く議員ら(26日、国会で)=川口正峰撮影
 
 26日に議論が始まった衆院政治改革特別委員会では、政治資金規正法改正を巡り、与野党の主張の隔たりが浮き彫りになった。岸田首相(自民党総裁)は今国会中の改正実現に強い意欲を示しているが、自民案に対しては、野党だけでなく、公明党も批判的で合意への道のりは険しい。
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【表】政治資金規正法改正に関する各党の主な立場
 
自民案 公明も批判的
強い危機感
 「政治資金の問題に端を発し、自民に極めて厳しい声が寄せられている。結党以来の深刻な状況にあるという強い危機感で取り組んでいる」
 首相は26日、東京都内での会合でこう述べ、派閥の規正法違反事件を受け、法改正による再発防止と信頼回復を急ぐ考えを示した。
 特別委では、自民の大野敬太郎氏が、政治資金収支報告書に関する「確認書」作成の義務化をはじめとする議員本人への罰則強化や、収支報告書に対する第三者監査の強化などの自民案を説明し、理解を求めた。
 これに対し、立憲民主党笠浩史氏は「抜け道が残るような小手先の見直しはもはや許されない」と反発した。立民は確認書について、「会計責任者の処罰が確定しなければ、誰も処分されない」(蓮舫参院議員)などと反対している。
慎重姿勢
 規正法改正を巡っては、議員個人が政党から受け取る政策活動費(政活費)のあり方や、政治資金パーティー券購入者の公開基準の引き下げも焦点となっている。自民はいずれも「プライバシーの確保」や「政治資金の多様性」の観点から見直しに慎重姿勢だ。
 立民や日本維新の会など野党4党は、政活費の禁止で一致している。政治資金パーティーでは、立民が全面禁止を主張し、維新は購入者全ての公開を求めている。維新の浦野靖人氏は特別委で「自民の金権体質を根底から解決するためには、パーティーのあり方や政活費に触れないわけにはいかない」と主張した。
会期延長論も浮上
 公明の石井幹事長は26日の記者会見で、パーティー券購入者の公開基準引き下げと政活費の使途公開に関し、「改革の方向性がしっかりと示される形で与党案をまとめていきたい」と語り、自民に注文を付けた。公明幹部は「今の自民案ではゼロ回答だ」と漏らし、与党協議での譲歩は難しいとの考えを示した。
 今国会の会期末(6月23日)までは残り2か月を切っており、参院での審議も考慮すると日程は窮屈になっている。自民内からは「会期を延ばすことがあってもいい」(渡海政調会長)などと、会期延長論も浮上している。