自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、政治改革を議論する、衆議院の特別委員会が初めて開かれ、政治資金規正法の改正に向けて各党が主張を展開しました。

今回の問題を受けて、衆議院では26日、政治改革を議論する特別委員会が初めて開かれ、各党がそれぞれ、政治資金規正法の改正に向けた意見を述べました。

自民 大野敬太郎

自民党大野敬太郎氏は、「まず取り組まなければならないのは、不適切な会計処理という事態を二度と起こさない再発防止策だ。会計責任者に任せていたと政治家に言い逃れをさせないためには、政治資金規正法版のいわゆる『連座制』の導入が必要だ。また政党の収支全般に関わる課題を解決していくためには、『政党助成金』の使途や『政策活動費』の透明性、労働組合などの政治活動と政治資金の透明性などのあり方を包括的に議論すべきだ」と述べました。

立民 笠浩史

立憲民主党笠浩史氏は「政治家本人の罰則の強化が必要で、秘書や会計責任者だけでなく政治家本人に対して責任を問うことができる仕組みを強化しなければならない。政治資金をめぐる抜本的な見直しを行い、実効性のある再発防止策を確立しなければならない。特定の企業・団体によって政治、政策の決定がゆがめられることのないようにすべきであり、企業・団体献金を禁止する」と述べました。

維新 浦野靖人

日本維新の会浦野靖人氏は「牛歩のごとく進まない政治改革を象徴するのが、国会議員に毎月支給される旧『文書通信交通滞在費』、『調査研究広報滞在費』の改革だ。自民党が前向きになればすぐにでも実現する。使途の公開にあわせて未使用額の返納も引き続き求める」と述べました。

公明 中川康洋氏

公明党の中川康洋氏は「政治資金の収入と支出をより明確化する透明性の向上と罰則の強化の2点が重要だと考え、策定した要綱に、いわゆる『連座制』の強化を盛り込んだ。『政策活動費』については、使途に関わる明細書の作成を義務づけ支出の流れを明確にしたい」と述べました。

共産 塩川鉄也

共産党塩川鉄也氏は「裏金事件の全容を解明し、その政治責任を明らかにし、抜本的改革を実現することが、委員会に課せられた任務だ。金権腐敗を根絶する核心は、企業・団体献金の全面禁止だ。パーティー券の購入も含め全面禁止すべきだ」と述べました。

国民 長友慎治氏

国民民主党の長友慎治氏は「わが党の改正案には、所属議員に政治資金規正法違反などがあった場合は党に対する政党交付金の交付停止を盛り込んだ。政党改革、選挙制度改革、国会改革を行わなければ、政治とカネの問題は繰り返されてしまう」と述べました。

各党 法改正に向け一致点を見いだせるか

委員会では大型連休明け以降、議員の責任強化や透明性の向上などをめぐって意見が交わされる見通しで、各党が法改正に向けて一致点を見いだせるかが焦点となります。

与党側 自民 大野氏「なるべく多くの賛同得ながら法改正を」 

特別委員会で与党側の筆頭理事を務める、自民党大野敬太郎氏は、記者団に対し「各党でそれぞれの意見があると認識したが、共通する部分もあると思う。自民・公明両党で案を作っている最中なので、合意できたら野党にも働きかけ、なるべく多くの賛同を得ながら法改正を成し遂げていきたい」と述べました。

また、今後の審議の進め方について「まだ与党の案が具体的に示せておらず、予断を持って答えられない。どのように委員会を運営するのかを野党筆頭と協議して進めていきたい」と述べました。

野党側 立民 笠氏「自民党包囲網つくることが改革実現に大事」 

特別委員会で野党側の筆頭理事を務める、立憲民主党の笠国会対策委員長代理は、記者団に対し「自民党とほかの党とで温度差が際立った意見表明だった。公明党を含めて私たちが企業・団体献金や政策活動費のあり方について案をつくっていかなければ、ことが動かないのではないか。後ろ向きな自民党任せでは政治改革は絶対にできず、私たちが議論をリードできるよう取り組んでいきたい。自民党包囲網をつくることが改革の実現に向けていちばん大事なことだ」と述べました。

岸田首相「不退転の決意持って党の再生に取り組む」

岸田総理大臣は東京都内で開かれた経済同友会の会合であいさつし、「自民党は結党以来の深刻な状況にあるとの強い危機感で取り組んでいく。『遅い』『歯がゆい』といった場面が多々あると思うが、内外のさまざまな事態に対応しつつ、党内の合意をまとめていくというプロセスに取り組んでいることを理解してもらいたい」と述べました。

その上で「自民党に対する信頼回復がなければ、この国には責任政党も国民政党もなくなってしまう。こうした緊張感で、次世代のため、不退転の決意を持って党の再生に取り組んでいく」と述べました。

立民 泉代表「自民の改革案 作り直してもらうのが一番」 

立憲民主党の泉代表は、記者会見で「自民党の改革案には企業・団体献金の廃止などが入っておらず、政治資金パーティーについても全く触れていない。ごく一部『連座制もどき』だけが提案されているが、不十分だ。国民に到底納得してもらえるものではないので、作り直してもらうのが一番だ。国民にとって、おかしいルールは変えるべきで、高い球を投げ続けなければならない」と述べました。

共産 山添政策委員長「真相解明の場として役割果たさせていく」 

共産党の山添政策委員長は、記者会見で「裏金づくりのもとになる企業・団体献金の禁止という抜本的な対策に出られるかが問われるが、自民党からは言及がなかった。野党各党が求めている企業・団体献金禁止に正面から乗り出すよう、今後の議論で求めていきたい。岸田総理大臣の出席はもちろん、関係者の証人喚問や参考人招致など、真相解明の場としてきちんと役割を果たさせていくことも大事だ」と述べました。

国民 榛葉幹事長「自民の案は緩い ほとんど何も変わらない」 

国民民主党の榛葉幹事長は、記者会見で「なかなか出てこなかった自民党の案は緩い。政策活動費や企業・団体献金に手を付けず、ほとんど何も変わらない。時がたち、国民が忘れるのを待とうと考えているのかもしれないが、国民はバカではなく、政治資金規正法の改正のあり方を注視するのではないか」と述べました。

河野デジタル相「デジタル庁としてしっかり対応していく」 

河野デジタル大臣は、閣議のあとの記者会見で「国民の信頼を一日も早く回復し、政治が国民のためにあることを実感してもらえるような議論が行われることを期待したい。政治資金に関するデジタル化の議論がまとまれば、デジタル庁としてしっかり対応していく」と述べました。

 

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