規正法改正 徹底的な透明化図らねば(2024年4月18日『新潟日報』-「社説」)

 「政治とカネ」を巡り、国民の政治不信は頂点に達している。カネの流れの徹底的な透明化を図り、国民が納得できるような改革にせねばならない。

 自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正に向け、衆参両院に政治改革特別委員会が設置された。与野党による法案審議の舞台が整い、議論が本格化する。

 岸田文雄首相は、議員本人を含めた厳罰化、第三者による監査徹底、デジタル化による政治資金の透明性向上の検討を党に指示し、公明党とは法改正へ与野党の幅広い合意を得ることとした。

 自公両党は今国会での法改正を目指す考えでも一致している。

 問題なのは、自民が独自案を示していないことだ。政治不信を招いた当事者でありながら、改革への本気度に疑問符がつく。

 法改正への論点は、連座制の導入や政策活動費の扱い、企業・団体献金の存廃、政治資金パーティーの規制強化など多岐にわたる。

 企業・団体献金に関しては、立憲民主党日本維新の会は政策決定がゆがめられるとして禁止を訴えている。一方で、首相は「企業は寄付の自由を有する」とし、禁止には否定的だ。

 裏金事件で悪用された政治資金パーティーには、野党が開催の全面禁止や企業・団体による券購入禁止を訴え、公明は券購入者の公開基準を20万円超から5万円超への引き下げを唱えている。

 不正があった際に会計責任者だけでなく、国会議員が連帯責任を負う連座制については、公明や野党が導入を求めている。

 しかしいずれにも、自民は党内に慎重論が根強く、具体的な見解を示していない。

 政党から政治家個人に支給される政策活動費を巡っては、自民幹部への支出が年間10億円を超すことも珍しくない。立民などが廃止を求め、公明は使途公開を訴えるものの、自民は政治活動の自由やプライバシーを理由に及び腰だ。

 自民幹部の資金管理団体が、使途公開基準の緩い政治団体に多額の資金を寄付し、具体的な支出を確認できない問題も判明している。カネの流れを透明化するのは不可欠で、規制強化は当然だ。

 共同通信社世論調査では、規正法に関し、与党支持層でさえ半数以上が、企業・団体献金の禁止が「必要」と答えるなど、国民の政治に対する視線は厳しい。

 28日投開票の衆院補欠選挙はいずれも「政治とカネ」の問題が絡む。自民は2選挙区で独自候補を擁立できず、不戦敗となった。

 選挙戦では、裏金事件への岸田政権の対応が焦点だ。規正法改正など政治の信頼回復への道筋を示す必要があるだろう。

 再発防止や規正法改正に「先頭に立って進めることで党総裁としての責任を明らかにしたい」と述べた首相の有言実行が問われる。