皇位継承と皇族数 「正統の流れ」確認された(2024年4月27日『産経新聞』-「主張」)

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自民党の安定的な皇位継承の在り方に関する所見を額賀福志郎衆院議長(左)へ手渡す麻生太郎副総裁(中央)と茂木敏充幹事長=4月26日、国会内(春名中撮影)
 
 自民党麻生太郎副総裁が、安定的な皇位継承に向けた党見解を額賀福志郎衆院議長と尾辻秀久参院議長に提出した。
 政府有識者会議がまとめ、令和4年1月に岸田文雄首相が国会へ提示した政府報告書の内容に賛同した。
 政府報告書への各党・会派の意見が出そろった。大型連休明けから衆参議長の下で与野党の代表者が皇位継承や皇族数確保の協議を始める。少なくとも今国会中に、報告書の内容を実現する合意形成を図ってもらいたい。関連法の制定まで実現すれば、国の根幹に関わる問題の解決が大きく前進する。
 天皇、皇室をめぐる合意形成に政争の影響を及ぼしてはならないのはもちろんだ。
 政府報告書は、初代神武天皇から第126代今上(きんじょう)天皇まで皇位が一度の例外もなく男系(父系)で継承されてきた歴史と伝統を重視し、秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下への皇位継承の流れを「ゆるがせにしてはならない」と明記した。これを前提に皇族数確保策などを示した。
 自民、公明両党、日本維新の会、有志の会などは意見書で、この継承の流れを守るよう記した。国民民主党は会見で男系男子の継承が基本と表明した。立憲民主党の「論点整理」は、政府報告書が示した継承の流れに異論を呈さなかった。
 今上陛下はすでに、国事行為を含む「立皇嗣の礼」で、秋篠宮皇嗣殿下が継承順位第1位である旨を内外に宣明されている。国権の最高機関の衆参両院は全会一致で今上陛下と秋篠宮皇嗣殿下に立皇嗣の賀詞を奉った。皇位継承の正統の流れは明らかで、各党・会派の大多数がその点を踏まえた形だ。
 政府報告書は、悠仁親王殿下の皇位継承時に他の皇族がいなくなることを避けるための方策を示した。①女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持②養子縁組による旧皇族男系男子の皇族復帰③前の2つの案が十分でなければ旧皇族男系男子を直接皇族に復帰―の3案だ。これを各党・会派の多数が評価した。
 臣籍降下した旧皇族皇籍復帰は歴史に先例がある。②と③は男性皇族を増やし、安定継承に直結する。まず②を必ず実現すべきである。①は前例のない女系継承容認につながる「女性宮家」を避けつつ皇族数を確保する案で実現の余地はある。