安倍氏がつないだ麻生氏とトランプ氏(2024年4月27日『産経新聞』-「産経抄」)

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23日、ニューヨークのトランプタワーでトランプ前米大統領(左)と対面した自民党麻生太郎副総裁(AP=共同)
 
麻生太郎元首相は、親愛なる友人であるシンゾー(安倍晋三元首相)を通して以前から知っている」。復権を狙うトランプ前米大統領は23日、ニューヨークのトランプタワーのロビーで麻生氏を出迎え、こう語った。会談では、日米同盟の永続的な重要性などについて話し合った。
▼平成29年11月の大統領としての初来日時、トランプ氏は蜜月関係だった安倍氏に尋ねた。「あなたの友人は誰か」。安倍氏が「麻生さんだ」と答えたことが強い印象を残したのだろう。麻生氏との会談は、トランプ氏側の求めで実現した。
▼今年1月の麻生氏訪米時も、トランプ氏は会談を望んだが、共和党の候補指名争いの日程と重なり、かなわなかった。この時も麻生氏は電話でトランプ氏と会話しており、トランプ氏は言ってきた。「自家用ジェット機を回すから、こっちに来られないか」
▼11月の米大統領選の行方はまだ見通せないが、トランプ氏の返り咲きも十分あり得る。安倍氏亡き今、そうなった場合に保護・孤立主義に傾きがちなトランプ氏の助言役、指南役を務められる日本の政治家は、安倍氏の盟友だった麻生氏をおいて見当たらない。
▼「俺が代わってやりたかった」。一昨年7月8日、安倍氏の訃報に接した麻生氏は周囲に漏らした。その麻生氏が今回の会談時に着ていた青みを帯びたスーツが目を引いた。「珍しく光沢系スーツを着ている。安倍総理が愛した生地とブランドを踏襲しているように思います」。麻生氏をよく知る経済評論家、渡邉哲也氏の指摘である。
▼「私と麻生さんは(堅固な)日米同盟だから(大丈夫)」。かつて麻生氏との意見の相違による衝突が報じられた際、安倍氏が語った言葉がよみがえった。