「沖縄の民意踏みにじった」玉城デニー知知事が辺野古新基地の代執行を批判 「LIN-Net」集会で講演(2024年4月20日『東京新聞』)

 地域主権主義に根差した政治や行政を目指す「ローカル・イニシアティブ・ネットワーク」(LIN-Net)は20日、東京都千代田区で7回目の集会を開き、上京中の玉城(たまき)デニー沖縄県知事が講演した。国が県の事務を代執行して強行する名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設の現状を報告し、「選挙で負託を受けた知事の権限を一方的に奪うことは多くの県民の民意を踏みにじり、憲法で定められた地方自治の本旨をないがしろにするものだ」と訴えた。
 
集会で、辺野古新基地建設の現状を説明する玉城デニー沖縄県知事

集会で、辺野古新基地建設の現状を説明する玉城デニー沖縄県知事

 玉城氏は、防衛省が提出した新基地予定海域の軟弱地盤改良に伴う設計変更申請を巡り、国土交通相が昨年12月末、知事に代わって承認する代執行を行った経緯を説明。「国の判断だけが正当と認められ、地方自治を否定する先例となりかねない」と民意を無視する国の姿勢を問題視した。

◆国の指示権を拡大する地方自治法の改正を危惧

 講演後のシンポジウムでは、LIN-Netの世話人政治学者の中島岳志氏が「政府がむちゃくちゃな解釈で強行した代執行は沖縄だけの問題ではない」と指摘。自治体に対する国の指示権拡大を盛り込む地方自治法の改正によって、強権発動に拍車がかかると危惧した。
 同じく世話人を務める東京都世田谷区の保坂展人区長は「コロナ対応でも国がいつも正しかったわけではない」とし、「国は殿様、自治体は家来という姿に戻そうとしている」と批判した。
 LIN-Netは集会で、政府が今国会での成立を目指す地方自治法改正案に対し、「地域主権を深く傷つける恐れがある」として反対する声明を採択した。
 集会には、オンラインも含め約500人が出席。6つの分科会に分かれ、参加者同士での意見交換も行った。(山口哲人)