地震で寸断の国道249号 輪島市一部区間が復旧 海沿いに迂回路「人が戻り、また元のように」と地元住民(2024年5月4日『東京新聞』)

 能登半島地震による土砂崩れで寸断された国道249号のうち、石川県輪島市の国名勝「白米(しろよね)千枚田」近くにある隆起した海岸に造った迂回(うかい)路が2日、開通した。市東部から市中心部へのアクセスが大幅に向上した。一方で沿岸部の国道249号は土砂崩れやトンネルの損壊で、4区間で不通が続き、復旧の見通しは立っていない。
 
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土砂崩れで国道249号(右端)が寸断され、隆起した海岸に造られた迂回路。工事業者や地元住民の車両が通行可能になった
 迂回路は全長約430メートル、幅約5メートル。国土交通省能登復興事務所が、隆起した海岸に盛り土をして整備した。当面は緊急車両や復旧工事に関係する車、地元住民の車に限り通行できる。
 開通した正午すぎ、迂回路の東側の住民らが市中心部に向かって車を走らせた。輪島市東部の名舟(なふね)区長を務める古酒谷(こざかや)政幸さん(76)は「開通したことで名舟の人が戻ってきて、また町が元のようになってほしい」と期待した。
 輪島市中心部から市東部に向かう人もいた。同市渋田町の田んぼを手入れするために迂回路を通った男性(70)は「連日、回り道するしかなかったので便利になる」と歓迎した。迂回路の開通前は片道1時間余りかかっていたが、3分の1ほどの時間に短縮されたという。
 地震発生時や大雨など状況によっては危険を伴うため、通行止めとなる可能性がある。復興事務所は今後、道路幅を広げることなどを検討しているという。(久我玲、脇阪憲)
 
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