乳がんになっても夢はあきめない 北京・パリ1万4000キロのクラシックカーレースに挑む爰野寿美子さん(2024年5月4日『東京新聞』)

 北京-パリの約1万4000キロをクラシックカーで横断する「北京-パリ・モーターチャレンジ」に東京都江東区の人材教育会社社長、爰野(ここんの)寿美子さん(50)が出場する。2023年末、乳がんの摘出手術を受けた。服薬を続けながら、過酷なレースに挑む。
 
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レースで乗る車について話す爰野寿美子さん
 爰野さんは人間ドックで乳がんが見つかり、昨年末に右の乳房を全切除。闘病生活やレースに挑戦する思いを交流サイト(SNS)で発信すると、同じ境遇の人たちから「勇気をもらった」とのメッセージが数多く届いた。「喪失感もあったが、自分のチャレンジは誰かの役に立っていると自分も励まされた」と話す。
 知人の誘いで、16年に初めて国内の耐久レースに出場した。「クラシックカーなので思うようには走らない。トラブルもたくさんあるが、現代の車と違った味がある」と夢中になった。
 
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2022年9月にモロッコで開かれたクラシックラリーに参加した爰野寿美子さん
 今回のレースは18日~6月23日の37日間。2人1組で北京を出発し、カザフスタン、トルコなど8カ国を旅しパリを目指す。決められたコースの正確性や制限時間内に到着できるかを競い、マシントラブルも自分たちで対応する。爰野さんは知人の男性と参加。出場する約110組中、唯一の日本人グループだという。
 「走る姿を多くの人に見てもらい、勇気と希望を届けたい」と爰野さん。レースの様子はSNSなどで発信する。(井上真典)