自民派閥政治資金パーティー裏金事件が尾を引き、公明が自民新人の錦織功政候補の推薦を決めたのは告示日前日までずれ込んだ。劣勢が伝えられる中、小渕氏の水面下での「隠密行動」は選挙区内2万票とされる公明票にすがらざるを得ない現状を物語った。
20日の松江市内での街頭演説には公明の国会議員が応援に入り、支持者も駆け付けた。公明県本部の幹部は「後は時間との戦いだ」とつぶやいた。
地上戦にも力を入れる。「これだけ選挙の応援に入るのは初めて」と語る小渕氏は選挙戦12日間のうち9日間、選挙区に張り付き、地域を回る「どぶ板選挙」に徹する考え。19日は松江市内の選挙事務所で陣営幹部と協議し、20日は安来市内の山間部などを巡って住民の手を握った。
小渕氏だけではない。党本部は連日数人の国会議員を投入。業界団体を回り、支持固めを進める。21日には地元の「逆効果だ」との異論を押し切り、岸田文雄首相が来県し、裏金事件による逆風の中、議席死守へ自らてこ入れを図る。
勝利が当たり前だった「保守王国」で進む党本部主導の選挙戦に副作用も起きている。県連幹部は「何度も街頭演説に駆り出され、支持者に動員疲れがある」と漏らす。過去の選挙で最前線に立ってきた地方議員の動きは鈍く、県議の1人は「国会議員が次から次に入ってきてかきまわしている。訳が分からない状態だ」と首を傾げた。