能登の被災地、GWに最多ボランティア 家屋片付け、廃材再利用も 「愛着ある家。活用してもらえたら」(2024年5月4日『東京新聞』)

 ゴールデンウイーク(GW)後半が始まった3日、能登半島地震で被災した石川県の輪島、珠洲(すず)、穴水の各市町のボランティアセンター(VC)には過去最多の人が集まった。ボランティアたちは片付け作業にとどまらず、被災者と共に復興への思いを共有する。(井上靖史、久我玲、大野沙羅)
 「暖かくなってきて、家の片付けをする気持ちが少し出てきた」。初めてボランティアを依頼した80代夫婦は「光が少し見えた」と喜んだ。黒い屋根瓦の家屋が並ぶ輪島市門前町黒島町。地元有志らでつくる「黒島復興応援隊」が住民の依頼に応え、家の片付けなどに汗を流した。
 
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被災した重蔵神社の社を片付ける金沢大のボランティアサークルのメンバーら=3日、石川県輪島市河井町で
 
 1月中旬から参加する岐阜県高山市の建設業の亀谷美容子さん(54)は「両親が北海道出身で(北前船の船主集落で栄えた)黒島と不思議な巡り合わせを感じている。来るたびに思い入れが強くなる」。連休中は延べ200人がボランティアで参加する予定だ。
 金沢大のサークル「ボランティアさぽーとステーション」は輪島市河井町の重蔵神社で、社の瓦や木材の片付けに励んだ。学生と教員計6人が全壊した社の瓦や木材を片付けた。長野県出身で1年の中沢椛(もみじ)さん(18)は高校生の時に利用した研究所が能登地域にあった縁で力になりたいとサークルに。「できることは正直限られていた。でも、私の活動が能登の未来につながればと思って続けていきたい」と意気込んだ。
 
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被災した家屋から使える廃材を取り出すボランティア=3日、石川県珠洲市正院町で
 
 珠洲市でもボランティアの活動が増えてきた。市災害VCによると、4月15日から連合石川がニーズを調査し、1日当たり10~20件の依頼は20~30件に増加。市は集会施設などを宿泊先として用意し、センターが受け付けた一般ボランティアだけで、3日は過去最多の152人が活動した。
 住民から直接依頼を受ける珠洲市三崎町小泊のボランティア拠点「さだまるビレッジ」では、解体する家屋の片付けを手伝いながら廃材を集めている。これらでベンチなどを作り、地域の交流拠点にする。自宅が全壊し、知人を通じて片付けを依頼した元大工の畠山庄一さん(77)は「自分で建てた家。愛着もある。活用してもらえるならうれしい」。石川県白山市から同方へボランティアに訪れた鍼灸(しんきゅう)師の相川葵さん(45)は「廃材の再利用を目指す方針がいいと思い、連休を使って活動に来た」と話した。