公職選挙法違反で有罪が確定した柿沢未途元衆院議員(自民党を離党)の辞職に伴う衆院東京15区補欠選挙(16日告示、28日投開票)を巡り、各党の対応が揺れている。自民は、作家の乙武洋匡氏を推薦する方針を示していたが、乙武氏が自民推薦に積極的な姿勢を示さなかったことなどから先行きが不透明に。公明党は乙武氏の推薦に慎重姿勢で、国民民主党は、自民が乙武氏の推薦方針を示したことから乙武氏への相乗りを慎重に判断する方針に転じた。各党の思惑が複雑に絡まるなか、注目の選挙戦がスタートしようとしている。
「(自民による乙武氏推薦の話は)ぶっ壊れるかもしれない」。自民の都連幹部は東京15区補選を巡る情勢が当初の想定とは違った方向に向かいつつあることに危機感を示した。乙武氏は、地域政党「都民ファーストの会」(都民フ)が国政進出に向け設立した政治団体「ファーストの会」が擁立。自民関係者によると、都民フ特別顧問の小池百合子東京都知事が乙武氏の擁立方針を事前に自民幹部などに伝達し、その際に自民の推薦も求めていたという。自民は、乙武氏から推薦依頼が来ることを前提に、茂木敏充幹事長が2日、記者団に「党本部として乙武氏を推薦する方向で手続きに入る」と明らかに。速やかに乙武氏への相乗りが整う算段だった。