乙武洋匡氏、自民の裏金事件に「強い憤り」も…推薦方針は「大変ありがたい」 衆院東京15区補選に出馬表明【一問一答】(2024年4月8日『東京新聞』)

 
16日に告示される衆院東京15区補選で、新人の作家乙武洋匡氏(48)が8日、東京都江東区で記者会見し、無所属で立候補する意向を表明した。
衆院東京15区補選への立候補を表明する乙武洋匡氏=東京都江東区で

衆院東京15区補選への立候補を表明する乙武洋匡氏=東京都江東区

◆無所属だが「ファーストの会とともに戦っていく」

乙武氏は、小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党都民ファーストの会」設立の「ファーストの会」の副代表。会見場にも小池知事との2連ポスターが多数張られていた。
乙武氏は、ファーストの会公認ではなく無所属で立候補する理由を「まっさらな状態で勝負をする方が、政治不信という状況が蔓延している中では相応しいのではないか」と説明した。
自民党の裏金事件に関しては、「非常に強く憤っている。これから党として、どのように反省し、本当に立て直しができるのかが問われている」と述べた。
自民党は既に乙武氏を推薦する方針を発表している。乙武氏は「大変ありがたく思っている」とした上で、「現時点では、どの政党にも推薦依頼を出していない」と強調。「政治で最も大切なことは政策であるべきだ。私が提示した政策を見て、うちの政党でぜひ推薦したいという思いを抱いていただけるなら、誠心誠意お話をさせていただいたい」と話した。
一方で、ファーストの会については「ぜひ推薦していただきたい。基本的にはファーストの会とともに戦っていくという思いでいる」とも語った。

◆過去の女性問題「あらためて深くおわび」

乙武氏を巡っては、2016年に週刊誌で5人の女性と不倫していたとのスキャンダルが報じられた過去がある。これについては「今振り返っても恥じ入るばかりで、深く反省もしている。多くの皆さんの信頼を失い、ご迷惑をおかけもした。あらためて深くおわびしたい」と陳謝した。

◆他の立候補予定者は…

東京15区には他に、日本維新の会の新人金沢結衣氏(33)、参政党の新人吉川里奈氏(36)、政治団体「日本保守党」の新人飯山陽氏(48)、元自民党衆院議員の秋元司氏(52)、元格闘家で参院議員の新人須藤元気氏(46)、立憲民主党新人の元江東区議酒井菜摘氏(37)が出馬表明している。共産党は新人小堤東氏(34)の擁立を取り下げ、立民の酒井氏の支援に回る。
乙武氏は質疑応答で、過去の女性スキャンダルについて謝罪したほか、自民党公明党などとの距離感について語った。
 
16日に告示される衆院東京15区補選で、新人の作家乙武洋匡氏(48)が8日、東京都江東区で記者会見し、無所属で立候補する意向を表明した。会見での主な質疑は次の通り。

◆無所属? 小池都知事とツーショットポスター

ファーストの会公認ではないのか。
 
記者会見に臨む乙武洋匡氏。無所属を強調する一方、ファーストの会のポスターが目立つところに張られていた=江東区で

記者会見に臨む乙武洋匡氏。無所属を強調する一方、ファーストの会のポスターが目立つところに張られていた=江東区

「ファーストの会の皆さんとも、さまざまなお話をさせていただいた。最終的には、2年前の選挙(参院選東京選挙区に無所属で立候補)も無所属で戦わせていただいたこと、その中でいかなる政党、組織の支援も得ることなく32万人を超える皆さんに思いを託していただいたことを非常に評価していただき、当時から応援してきてくれた皆さんが気持ち良く、今回も応援したいと思っていただけるなら、『今回も無所属がいいんじゃないか』と言っていただいた」
「今回はまっさらな状態で勝負する方が、政治不信という状況が蔓延している中ではふさわしいのではないかということで、あくまでファーストの会公認ではなく、無所属という形を取らせていただいている」
自民党は推薦する方針を表明しているが、受けないのか。他の政党から推薦をもらうめどは。
「大変ありがたく思っているところではあるが、私自身、正式に(出馬)表明させていただくのはこれが初めてですし、政策もこれと同時に発表するということなので、もちろん、より多くの政党、組織に応援をしていただける方が、より当選には近付くのかもしれないが、そういった思いは有権者の皆さんにすぐに見透かされることになってしまうと思う」
「やはり政治で最も大切なことは政策であるべきだと思っている。私が提示させていただいた政策を見て、こういう政策を進めたいという候補者であればぜひ推薦したい、そういう思いを抱いていただけることになれば、一つ一つの政党と誠心誠意お話をさせていただきたいと思っているが、現時点ではどこかの政党に推薦依頼を出している事実は全くない」
-無所属を強調しているが、ポスターには小池都知事とのツーショットで写っている。
「そのように疑問を抱かれることも当然かなと思う。私自身もファーストの会の副代表に就任させていただいたし、党の一員としてファーストの会の政治理念、また政策には深く賛同している。しっかりと今後も連携しながら、ともに戦っていく心づもりではいる」

木村弥生前区長の活動には「敬意を払っていた」

-東京15区補選のきっかけは、2023年4月の江東区長選を巡る公選法違反事件。区長選で乙武さんは、当選した木村弥生被告を応援していた。
木村弥生さんは国会議員時代から、自民党にしては珍しく障害者政策、女性政策、子ども政策、まさに票になりにくいと呼ばれるところ、弱者支援と言われるところに手厚い活動して下さる稀有な政治家だった」
「私も当時から、党派に関係なく、木村さんの活動に非常に敬意を払っていた。そんな木村さんが今度は江東区長選に出ると。江東区を血の通った温かい区にしていくんだというお話を直接お伺いしたので、その思いに打たれて応援させていただいた。柿沢未途さんから依頼をされたことは一切ないし、個人的にお話をしたことも一度もない」
公明党で、過去の女性問題を念頭に乙武さんの支持は厳しいという声が上がっているという報道がある。
公明党は非常に福祉政策を手厚くやってこられた党ですから、私自身も政策は近いものがあると感じている。しかし一方でスキャンダルに厳しい党であることも知られているので、8年前の私の私生活における出来事がやはり懸念材料になってくるというのは承知している」
-今お話を聞いていても、人として魅力的で、「これ、モテるわ」というのは分かるが、女性の票が離れてしまうところがあると思う。
「最近、私のそのことをメディアさんが書く時に『5股』と書かれるところが結構多いが、だからといって罪が軽減されるわけではないが、5股ではない。15年間の結婚生活で5人ということで、5人同時ということではないので、そこは事実関係としては違うなということだけは申し上げておきたい」
「ただ、そういったことがあったということに関しては、隠しようもない、否定しようもない事実なので、何もごまかすこともない。そのことを問われれば、大変申し訳なかったと答えるのみです」
「8年前の私生活のことで、もちろん私自身が反省をしなければならないが、再チャレンジというものが許されない、二度とお前は表舞台に出てくるなという社会は、これは私の問題だけでなく、人生の再起を許さない社会になってしまうのかなと」

◆「『どこと組んだら勝てそうだ』で選びたくない」

-政治とカネの問題で、自民党への批判が強まっている。自民の推薦を受けることがプラスにならない場合もあるという見方もある。
「もちろん今、このタイミングで自民党から推薦を受けるということは、おそらく逆風になるんでしょうし、多くの皆さんからご批判をいただくことになるのかなとは思う。どこと組んだら選挙に勝てそうだ、負けそうだということで選びたくない。この政策を実現することが社会のためになりますよねと、心から思えたお相手と一緒に戦っていきたい」
「ただ、これも繰り返しになるが、私自身は裏金問題に対して非常に強く憤っている」
-今後、どこかの政党に推薦依頼を出す予定はあるのか。
「ファーストの会には出す。ぜひ推薦していただきないなと思っている。基本的にはファーストの会とともに戦っていくという思いでいるので、他の政党さんに関しては、私の政策を見て賛同いただけるようであれば、待ちの姿勢で臨みたい」