「嫌ならなぜ途中で言わない?」 セクハラ疑惑の名古屋芸大学長が反論(2024年4月11日『毎日新聞』)

複数の学生から新学長によるセクハラ被害の訴えが出ている名古屋芸術大=愛知県北名古屋市で2024年4月9日午後、川瀬慎一朗撮影

複数の学生から新学長によるセクハラ被害の訴えが出ている名古屋芸術大=愛知県北名古屋市で2024年4月9日午後、川瀬慎一朗撮影

 名古屋芸術大(愛知県北名古屋市)の来住尚彦学長(63)が、非常勤講師だった昨年8月に舞台稽古(けいこ)中の複数の女子学生にセクハラをしたと訴えられている問題で、学内の調査委員会に対し「そんなに嫌ならなぜ途中でそう言わなかったのか。憤慨している」などと反論していることが複数の大学関係者への取材で判明した。

 また、調査委が来住氏の一部行為を「セクハラに該当し得る」と指摘していたことも新たに明らかとなった。大学側は調査報告書を受け、3月28日にホームページに「理事会に確認を取ったが、処分すべきハラスメントが行われたとは認定できないとの結論に至った」とする文書を掲載したが、調査委のこうした指摘については公表していなかった。

 来住氏は元TBS社員で音楽番組の企画制作などに携わり、東京都港区の「赤坂BLITZ」や「赤坂サカス」をプロデュース。2015年には一般社団法人「アート東京」を設立し、国内最大級のアート見本市を手がけるなどし、同大の非常勤講師を務め、今年4月に学長に就任した。

 学長就任の約1カ月前、学生らから大学に対し「23年8月にミュージカルの稽古中などに来住氏からセクハラ被害を受けた」とする申し立てがあり、大学側は運営法人の理事をトップに外部の弁護士2人を加えた計6人の調査委を立ち上げた。一方で来住氏は、謝罪したいという意向を教員を通じて学生らに伝えていた。

 複数の大学関係者によると、来住氏は調査委に対し、学生の体や髪に触れたことは一部認めた上で「髪を触るときは必ず同意を得ていた。見栄えや髪形を指導するためだった」「肩に手を添えた可能性はあるが、組んではいない」という趣旨の説明をしたという。

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