名古屋芸大学長セクハラ疑惑 調査委、被害申告半年後を理由に不認定(2024年4月11日『毎日新聞』)

 

 来住尚彦氏

 名古屋芸術大(愛知県北名古屋市)の来住尚彦学長(63)が複数の女子学生からセクハラ被害を訴えられている問題で、学内の調査委員会が、学生1人に対する来住氏の一部行為を「セクハラに該当し得る」と指摘したものの、被害の申し出が半年後だったことなどを理由に「不快感を抱いた程度は大きくなかったことがうかがえる」と判断していたことが、複数の関係者への取材で判明した。

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 調査委はさらに、来住氏のこの行為について、身体的接触の程度も強くないとして、「悪質性は高くなく、重い処分は相当ではない」と結論付けていたことも明らかとなった。

 関係者によると、調査委は他の学生に対する一部行為についても「不適切」と指摘しながら、被害申告が半年後だったことなどから、不快の程度は低いと判断。その上で、セクハラに当たらないと結論付けていたという。

 来住氏は元TBS社員で音楽番組の企画制作などに携わり、東京港区の「赤坂サカス」などをプロデュース。同大で非常勤講師などを務めた後、今年4月に学長に就任した。  学生は昨年8月に学内でミュージカルの自主練習をしていた際、来住氏から顔や頭をなでられたり、肩を組まれたりしたとして、今年2月に大学へセクハラ被害を申し出た。

 学生らは来住氏が学長予定者であったことや、芸能界に精通した経歴であることなどから「気持ち悪かったが、芸能界はそういう世界なんだと思い、当時は我慢した」などと訴えている。【川瀬慎一朗】

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未来のために(学長メッセージ)

 芸術は、自身から湧き出るクリエイティビティによって誰かに幸福を与えられる、とても魅力的なものです。しかし私は、音楽・アートイベントのプロデュースを通して、作品を素晴らしいと感じる思いと作品を手に入れる行為の間には、大きな隔たりがあると感じました。そのため、幸せを体感できる芸術をより身近なものにさせるためにも、その大きな価値を社会に広めていく必要があると決意に至りました。

 2024年4月より学長に就任したわけですが、私は芸術大学の教員として学生には社会と接点を持つ重要性を説いています。例えばアートフェアでは学生の作品を展示・販売することで、学生にアートの価値を体感させたり、社会経済を肌で感じさせたりしています。AI技術が日常生活に参入する昨今、社会に求められるのは感性やセンスの鋭い人です。それらは生まれ持った才能ではなく、知識や経験の蓄積から磨かれるものです。芸術大学で学ぶことで感性やセンス、クリエイティビティを磨き、幸せを呼び寄せる芸術の未来を牽引する成功者になって欲しいと願っています。

名古屋芸術大学 学長
來住 尚彦(きし なおひこ)

1985年 早稲田大学理工学部卒業後、東京放送(現TBS ホールディングス)入社。オーディオエンジニア、音楽番組制作を行う。96年T BSが経営するライブハウス「赤坂BLITZ」立上げ、支配人就任。全国ツアーコンサートのプロデュース、演出を行う。2008年エンターテインメントエリア「赤坂サカス」を立ち上げる。15年TBSホールディングスを退社し一般社団法人アート東京を設立。 東京、京都、大阪などでアートフェアを企画、プロデュースする。