改憲「賛成」27% 2年連続で減少 毎日新聞世論調査(2024年5月2日『毎日新聞』)

憲法改正に対する賛否
 日本国憲法は3日、1947年の施行から77年を迎える。毎日新聞が4月20、21の両日に実施した全国世論調査では、岸田文雄首相の在任中に憲法改正を行うことについて尋ねたところ、「賛成」との回答は27%で、「反対」との回答の52%を下回った。

 2022年4月の調査は「賛成」が44%、「反対」は31%と賛成が上回っていたが、23年4月の調査では「賛成」が35%、「反対」は47%と賛否が逆転している。2年連続で「賛成」が減少する一方、「反対」が増加した。首相は自身の自民党総裁任期中に憲法改正を目指すと発言しているが、9月末に1期目の任期満了が迫る中、世論の機運は高まっていない。

 支持政党別に見ると、自民党支持層では「賛成」が6割弱、「反対」は約2割だったが、公明支持層では「賛成」が2割弱にとどまり、「反対」は4割弱だった。改憲に積極的な日本維新の会の支持層でも、「賛成」と「反対」が拮抗(きっこう)した。立憲民主党の支持層では「反対」が約7割に上った。「支持政党はない」と答えた無党派層では「賛成」が2割弱、「反対」は6割弱だった。男女別、年代別では、いずれも「反対」が「賛成」を上回っている。

 9条を改正して自衛隊の存在を明記することについては、「賛成」が49%で、「反対」の34%を上回った。自民支持層で「賛成」が7割強を占めた一方、立憲支持層では「反対」が約5割、無党派層では賛否が拮抗した。

 緊急事態の際に国会議員の任期を延長できるようにする憲法改正については、「賛成」が31%で、「反対」の48%を下回った。自衛隊明記、議員任期延長のいずれも2年連続で「賛成」が減少し、「反対」が増加する傾向となっている。【佐藤慶

 

憲法キラーコンテンツ」 行き詰まる安倍改憲 起死回生策は(2024年5月2日『毎日新聞』)
 
 自民党自衛隊明記、緊急事態条項など4項目の憲法改正を目指している。第2次安倍晋三政権下の2018年にまとめた。憲法施行70年の17年5月3日、当時の安倍首相が9条改正と改正憲法の20年施行を目指すと表明したビデオメッセージが出発点だ。
 岸田文雄首相は党内ハト派の流れをくむ宏池会(岸田派)会長を務めた。改憲を「宿願」とした安倍氏のような思い入れはうかがえず、周辺から「何がやりたいか分からない」と評される。
 ある側近は首相に対し「改憲のやる気だけは見せてほしい」と助言したという。憲法議論に詳しい関係者は、首相にとっての憲法とは「保守層への見栄えを良くするための『ファッション』だ」と例える。
 「安倍改憲」を踏襲して総裁任期中の改憲を目指すと繰り返すものの、世論の機運は高まらない。自民派閥の裏金事件で政権運営が不透明感を増す中、野党第1党の立憲民主党は「改憲ありき」の自民に批判を強める。安倍氏は銃撃事件で亡くなり、最大派閥・安倍派は裏金事件で解散に追い込まれた。推進役不在となった「安倍改憲」は漂流しているように見える。
 そのような状況の中、改憲発議に向けた「強行突破論」が取り沙汰されるのは、行き詰まりの裏返しといえる。自民憲法族議員は「裏金事件の影響で次の衆院選で自民は議席を減らし、改憲勢力で3分の2を割る。今やらないと発議できなくなる」と危機感を募らせる。
 追い詰められているのは、衆院3補欠選挙で全敗した首相も同じだ。今のままでは…