500年後の日本は全員「佐藤さん」になる!? 選択的夫婦別姓を導入しない場合を東北大教授が試算(2024年4月1日『東京新聞』)

 
 約500年後の2531年、日本人は全員「佐藤」になる―。うそのような試算結果を、選択的夫婦別姓制度導入を求める一般社団法人「あすには」(東京)が1日付で発表した。結婚した2人が同姓にしなければならない世界唯一の日本の制度に基づきシミュレーションした。決してエープリルフールではない。井田奈穂代表理事は「日本の名字の多様性が失われてしまうかもしれない。姓を考えるきっかけにしてほしい」と話す。(奥野斐)

◆国内最多の「佐藤」現在は人口の1.53%

 少子高齢化に伴う経済変化などを専門にする東北大の吉田浩教授が、同法人から依頼を受けて試算した。姓に詳しいウェブサイトで国内最多とされる「佐藤」の数などを基に、23年の人口における佐藤姓の占有率を1.53%と算出。これに22~23年の伸び率1.0083を掛ける計算を繰り返した。姓の増減には、結婚や離婚、出生、死亡などの影響が反映されるという。
2531年には全員「佐藤」になるとの推計を説明する東北大の吉田浩教授(右)東京・霞が関の厚労省で

2531年には全員「佐藤」になるとの推計を説明する東北大の吉田浩教授(右)東京・霞が関厚労省

 すると2446年に国内人口における佐藤姓の占有率が50%を超え、2531年に100%に達した。
 選択的夫婦別姓が導入された場合も試算。22年の連合の調査で示された「別姓を選択できても同姓を志向する」割合39.3%などを基に計算すると、2531年時点の佐藤姓の占有率は8%ほどにとどまった。

◆「姓」を考えるきっかけに

 吉田教授は「数字で見せた方が影響は分かりやすい。全員が同じ姓になると、そもそも姓を名乗る意味もなくなる」と語る。
 姓に関心を持ってもらおうと、「あすには」は「#2531佐藤さん問題」アクションを始める。賛同企業約40社が、自社商品のロゴを「佐藤」にするなどして選択的夫婦別姓制度を発信する。詳細は「Think Name Project」のサイトへ。