ストーカーへ「次にやったら逮捕」という抑止効果も 年々増える「禁止命令」が「警告」を初めて上回る(2024年3月28日『東京新聞』)

 
 全国の警察などが2023年、ストーカー規制法に基づき出した加害者への「禁止命令」は1963件(前年比12.6%増)で過去最多を更新し、「警告」の1534件(同17.9%減)を初めて上回ったことが警察庁の統計で分かった。17年施行の法改正で、禁止命令に違反した場合は警告を経ずに逮捕できるようになり、年々、件数が増加していた。

◆検挙数も過去最多を更新

 法改正以前は、まず警察が加害者に警告し、従わなかった場合に公安委員会から禁止命令が出され、違反すれば逮捕する手順だった。改正法では、緊急と判断した場合に現場の警察署長名で出せる「緊急禁止命令」も導入。今回の禁止命令1963件のうち、緊急禁止命令は6割の1179件に上った。
 ストーカー規制法違反での検挙は1081件(同5.2%増)で、過去最多を更新した。ストーカーに関連する住居侵入や脅迫、暴行などの刑法犯も1708件(同3.5%増)で4年連続の増加となった。
 一方、全国の警察に寄せられたストーカーの相談件数は1万9843件(同3.7%増)と高水準で推移。動機の内訳は、ストーカー規制法に抵触する「好意の感情」「好意が満たされない怨恨(えんこん)」が8割だった。
 相談内容のうち、被害者と加害者の関係で最多だったのは交際相手・元交際相手の37.2%。次いで知人友人が13.9%、職場関係が13.4%、面識なしが8.8%などと続いた。
 ストーカー対策強化を巡っては警察庁が18日、全国の警察に対し、禁止命令を受けた加害者全員に連絡を取って近況把握などを徹底するよう通達した。警視庁は4月、ストーカーなどの事案に特化した「人身安全対策課」を生活安全部内に新設する。(小倉貞俊)
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◆「対象を動機で縛らず、保護の範囲を広げるべき」

 「警察のストーカー行為への対応は年々厳しくなっており、加害者の危険度や切迫度も適切に見抜こうとしているように感じる」。禁止命令が増えている傾向を、ストーカー問題に取り組むNPO法人「ヒューマニティ」(東京)の小早川明子理事長はそう評価。「警告を受けても意識の改まらない加害者が少なくない中、『次は逮捕される』という危機感を持たせる禁止命令は、犯罪の抑止につながっている」と指摘した。
 一方、怨恨(えんこん)トラブルなど恋愛感情以外のストーカー行為が急増している点を危惧。ストーカー規制法では、取り締まる行為の動機が「相手への好意やそれが満たされない怨恨」に限定されているため、「動機で縛ることをせず、規制法で保護できる被害者の対象を広げ、より多くの犯罪を未然に防いでいく取り組みが必要ではないか」と話した。