自民政治改革案 信頼の回復には不十分だ(2024年4月29日『琉球新報』-「社説」)

 国民からの信頼を取り戻すには、不十分と言わざるを得ない内容だ。

 自民党派閥の裏金事件を受け、自民党政治資金規正法改正の独自案をまとめた。政治資金収支報告書の提出時に国会議員による「確認書」添付を義務付け、不記載・虚偽記載への監督責任を明記した。また、議員の罰則規定を設け、罰則を受けた議員の公民権停止を付記し「連座制」に近いと位置付けている。
 しかし、議員に罰則が科されるには、(1)会計責任者が不記載・虚偽記載で処罰(2)議員が必要事項の確認を怠ったまま確認書を交付した時―と要件を限定した。
 そもそも裏金事件では、自民安倍派の会計責任者が在宅起訴されたのに対し、派閥幹部は立件を逃れたことに批判が集まった。自民党の改正案では、罰則へのハードルが高いことに加え、「確認」についても曖昧な部分が残り、議員が言い逃れできる余地がある。罰則強化とは言い難い内容だ。
 透明性では、政治資金監査の対象に収入を含めたほか、収支報告書のオンライン提出を義務化する一方、政治資金パーティー収入や政策活動費などの透明性の在り方、政治団体間の資金移動については検討項目とした。企業・団体献金の是非にも触れていない。政治資金パーティーに端を発した裏金事件では、議員に還流された資金の多くは具体的な使途が不明のままだ。不明分は私的流用の可能性は拭えず、野党からは脱税の疑いも指摘されている。
 指摘されていた課題への対策を提示せず「検討項目」と先送りすることは、問題の本質に向き合わず、政治への信頼回復を放棄しているとのそしりを免れない。
 26日には衆院政治改革特別委員会が初開催された。政治資金パーティー連座制を含む議員責任の在り方などが今後の論点だ。立憲民主党日本維新の会が企業・団体献金の禁止を求めたのに対し、自民党は慎重な姿勢を示した。使途の公開が不要な政策活動費についても隔たりがある。
 政治改革特別委でまず議論されるべきは、政治資金の透明性の在り方だ。裏金問題で国民に明らかになったことは、政治資金パーティーで集められた資金が秘密裏に還流され、使途も公開されないままだったことだ。国民に明らかにできない政治資金とは何か。自民党をはじめ、各党はそこに政治不信の根があると認識すべきだ。各党は党利党略を優先することなく、政治への信頼回復に向けて改革に真摯(しんし)に取り組むべきだ。
 一方、自民と維新の会は、国会議員に月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費=文通費)の見直しへ国会論議を始める考えで一致した。旧文通費も使途の公開が不要となっている。使途公開だけでなく必要性も含めて特別委で議論すべきだ。