焦らず間を空けて(2024年3月25日『福島民友新聞』-「編集日記」)

 県内で起きた旬のニュースを紹介するため、ベテラン記者がラジオに出演することがある。時間は4分弱と、それほど長くはないものの、話下手の記者にとっては、緊張で長く感じるひとときらしい

 ▼記者から上がってきた取材メモを確認しながら、聞いた人が翌朝の新聞を手にしてくれそうな話題を選ぶ。アナウンサーからは「焦らず間を空けて話すのが大事」とのアドバイスを受けているそうだ

 ▼災害時に役立つ情報源として、新聞とともにラジオを思い浮かべる人は多いはず。停電などでテレビが使えない場合でも、ラジオは電池さえあれば聞くことができる。近年は、多くの放送局がスマートフォンでも聞くことができるようになっている

 ▼停電が多発して、避難の必要がある人も多かった震災と原発事故では、ラジオが大活躍した。本県を含む岩手~茨城県の被災地には、20以上の「臨時災害放送局」が開局し、地域に密着した生活情報や励ましのメッセージを発信した

 ▼あれから13年。メディアの多様化が急速に進んだことの影響もあり、若者を中心にラジオ離れが進んでいるというのは、やはり寂しい。いざという時に焦らずに済むよう、手近な場所に一つは置いておきたい。