政情悪化のハイチと変わらぬ日本 政権与党は銃を持たないギャング団のよう(2024年3月13日『日刊スポーツ』-「政界地獄耳」)

カリブ海にある島国、ハイチの政情が悪化している。武装したギャング、アリエル・アンリが首都ポルトープランスの8割を制圧し、都市は無法状態。政府は3日に非常事態宣言を発令。10日には米国、ドイツ両国大使を含む複数の外交関係者が国外への避難を始めた。今年2月末以降、殺人や略奪などが頻繁に起き、ギャングの襲撃で刑務所から受刑者約4000人が脱走している。11日、ジャマイカの首都キングストン周辺諸国の地域共同体「カリブ共同体」(カリコム)の緊急会合を開き、対応を協議した。

★ハイチは10年に地震があり、大統領府や外務省などが倒壊。政府機能が不全となり、21年には大統領が暗殺されて以来、政情不安から選挙が行えず、大統領は不在のままだ。カリコムで米ブリンケン国務長官は国連主導の多国籍部隊に追加で1億ドル(約150億円)を拠出すると表明した。ハイチのアンリ首相はギャング団が空港を制圧しているため外遊から帰国できず、現在プエルトリコにいる模様で、会議にオンラインで参加したという。国際世論は「米国・カナダ・英国・仏の積極的な警察権の代理行使と軍事的制圧」の必要性を訴えるが、国連軍への協力には消極的で効果的な打開策がない状態だ。

★我が国はこのハイチの惨状をどう見るべきか。さまざまな要素は一概に同じとは言えないが、日本の政治は政権与党があまりにも特権を利用し、国民そっちのけで裏金づくりに政権幹部が奔走する国家に成り下がるも、まともな手だてを政府は打てない。若手や地方議員は遊興に明け暮れ、まさに銃を持たない日本型ギャング団のようだ。これでは政情不安と言われてもおかしくないだろう。国民は高額の納税を強いられ、政府の政策の失敗で景気は上向かず、世界に冠たる自動車産業はふたを開ければ不正データや下請けいじめと労働規約違反ばかり。勤勉だった国民はいつしか今だけカネだけ自分だけの道徳すら失いかけている。社会は30年前の価値観が横行し機能不全と言える。情けない国家という現実を認めざるを得ない。(K)