教育から相続まで、顧客の「人生に貢献」 岡三証券グループ・新芝宏之社長<じっくりトーク>(2024年3月10日『東京新聞』)

 
 本年度で創業から100周年を迎えた準大手証券の岡三証券グループ中央区)。次の100年を見据えて「顧客の人生に貢献する」との理念を掲げ、金融資産の形成・運用から相続まで、生涯を意識したアドバイスに注力する経営へと軸足を移している。新芝宏之社長(66)に聞いた。(妹尾聡太)
 
創業100周年を迎え、創業の地、三重県津市への思いを語る岡三証券グループの新芝宏之社長=東京都中央区で

創業100周年を迎え、創業の地、三重県津市への思いを語る岡三証券グループの新芝宏之社長=東京都中央区

◆投資の成功体験、根付いてきた

 人生はずっとお金との付き合いが続く。生まれた子が教育を受け、働き、家を買い、老い、亡くなり、相続される。そのさまざまな節目で金融は大きな役割を果たす。私たちの社会的使命は「この株が良い」などと単品の商品を薦めるだけでなく、人生に貢献することだ。そこで創業以来の哲学である「お客さま大事」に加え、新たに「人生貢献」を掲げることにした。
 最近は日本でも投資の成功体験が根付いてきた。約2000万人とされる国内の投資人口が、10~20年後には5000万~6000万人に増えているだろう。ただ逆説的だが、顧客の人生に貢献しようと思うと、幅広い付き合いは次第にできなくなる。顧客やその子ども、孫たちを将来にわたる一つのファミリーと捉えたとき、私たちの一番の目的はファミリー全体の資産運用がうまくいくということだ。
 長い歴史を持つ各地の中小証券会社との連携にも力を入れている。地域に根差してきた強みや独自性を発揮してもらいつつ、システム基盤など背後のインフラ部分は共有化してコストを分担していく。地域密着型の証券会社の経営は厳しさを増しているが、「老舗の和菓子店」のような地場証券の存在こそ、日本全体に投資を文化として根付かせ業界の規模を大きくできると考えている。

◆オフショット

 晴れた朝はサイクリング。荒天時はジムの機械で歩きながらネットフリックスの映画を見ています。その後、ストーブの火にあたって仕事と関係ない本を読むのが一番リラックスできる時間ですね。