不正輸出えん罪事件で勾留中死亡 遺族“拘置所の医療改善を”(2024年3月6日『NHKニュース』)


横浜市の化学機械メーカーの社長など3人が不正輸出の疑いで逮捕され、その後、無実が明らかになったえん罪事件で、勾留中に見つかったがんで亡くなった元幹部の遺族などが会見を開き、拘置所の医療体制の改善を訴えました。

6日に都内で会見したのは横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の顧問だった相嶋静夫さんの長男などです。

相嶋さんは4年前、社長など2人とともに軍事転用が可能な機械を不正に輸出した疑いで逮捕、起訴され、拘置所での勾留中に見つかったがんで亡くなりました。

その後、無罪に当たるとして刑事補償の手続きが取られました。

長男などは拘置所で適切な検査や治療を受けられなかったため、相嶋さんのがんの発見が遅れ死期が早まったとして、国に1000万円の賠償を求める裁判を起こしていて、国は「必要な対応はした」と反論しています。

この裁判の判決が3月21日に言い渡されるのを前に、長男は会見で、「がんと診断されても一向に治療が始まらず、拘置所は父が死ぬのを待っているのではと思うときもあった。拘置所からしかたないという判決が出ると、この先も同じような被害が出る。実態を明らかにして改善しなければならない」と述べました。

一方、メーカーの社長などが国や都を訴えた民事裁判では、東京地方裁判所が捜査の違法性を一部認め、双方ともに控訴しています。