資格取得や体を気遣った食事作りなどで、高齢の夫を支えています。
そんな加藤さんは、健康寿命を延ばす方法を専門家たちから学び『加藤家の食卓 医師と栄養士の先生に長生きする食事の作り方を習いに行ってきたレシピ集』(アスコム)を上梓しました。
その中で加藤さんが知った、認知症を予防する食事法について教えてもらいました。
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減塩食は認知症予防にも効果
循環器病予防のための減塩食にも詳しい国立循環器病研究センターで脳神経内科部長を務める猪原匡史先生。加藤さんは、猪原先生から認知症と食事の関係について学びました。
◆認知症の種類
認知症とひと口に言っても、脳内で作られるアミロイドβというたんぱく質の老廃物の蓄積が原因の「アルツハイマー病」や、脳梗塞に付随して起こる血管性認知症といった種類があるそうです。
「どちらの認知症に対しても、減塩食を中心とした生活習慣の改善が予防につながる可能性が高いとされています」(猪原先生・以下同)
◆認知症を予防する「マインド食」
猪原先生が教えてくれた「マインド食」は、認知症を予防する食事法としてアメリカの大学によって提唱されたメソッドで、アルツハイマー病の発症率が53%も低下したという報告があるそうです。
「生活に取り入れやすく、無理なく続けられる認知症予防法として、注目が集まっています」
「マインド食」でとりたい食材・避けたい食材
猪原先生によると、減塩食と「マインド食」を合わせて実践することで、理想的な食事になるとのこと。
「アルツハイマー病は脳の神経細胞が急速に減ることで起きる認知症ですが、発症してからも生活習慣病の予防が重要になるため、減塩も大切なのです」
◆「マインド食」でとりたい食材10
まずは、積極的に食べたい食材の10項目を満たすことを目標にしましょう。
・緑黄色野菜を週に6日以上食べる
・淡色野菜を1日1回以上食べる
・くるみやアーモンドなどのナッツ類を、週に5回以上食べる
・いちごやブルーベリーなどのベリー類を、週2回以上食べる
・大豆や小豆などの豆類を、週3回以上食べる
・魚を週1回以上食べる
・鶏肉を週2回以上食べる
・油はオリーブオイルを優先して使う
・ワインまたは緑茶を、1日にグラス1杯飲む
上記の項目に当てはまる数が1~4つの人は、必要な食材がとれていないのだとか。
5~8つの人は合格ラインですが、食事を見直して10点に近づける努力を、9~10点の人はすばらしい食生活なので、次に紹介する避けたい食材に気をつけて今の食事を続けるとよいそうです。
なお、現在治療中の病気があり、主治医がいる場合はよく相談して実践するようにしましょう。
ちなみに、加藤さんは8項目、玄米が嫌いな加藤茶さんは7項目をクリアしているそう。玄米入りのパンでもOKとのことなので、苦手なものがある場合は代替できるものがないか工夫してみるといいですね。
◆「マインド食」でできるだけ避けたい食材5
そして、避けたい食材についても覚えておきましょう。
・バターはなるべく少なく
・チーズは週1回以下
・ファストフードは週1回以下
・赤身の肉は週4回以下
・お菓子は週5回以下(和菓子がベター)
「マインド食」はゆるく実行しても、一定の予防効果があるという実験データもあるそうです。「完璧でなくてもいいので、続けることが大事です」と猪原先生は話します。守れている項目がある場合も、無理せず少しずつ食生活を変えていくといいでしょう。
◆教えてくれた人:
加藤綾菜さん かとう・あやな。1988年、広島県出身。2011年にザ・ドリフターズの加藤茶と結婚。45歳年の差婚と話題になるも、「財産目当て」などとバッシングされる。しかし、一切反論することなく、高齢の夫を支えるため「生活習慣病予防アドバイザー」「介護職アドバイザー」「介護レクインストラクター」など、多くの資格を取得し、「108歳まで舞台に立ちたい」という夢をもつ夫を支えている。
◆国立循環器病研究センター 脳神経内科部長・猪原匡史先生 京都大学医学部を卒業。西神戸医療センター、英国ニューカッスル大学加齢医学研究所研究員、京都大学医学研究科臨床神経学助教などを経て、2013年に国立循環器病研究センター 脳神経内科医長に就任。2016年から現職。専門は脳卒中・認知症の診療、食事や薬による認知症治療の研究。