立民・山井氏が衆院でフィリバスター、2時間54分の新記録 不記載の51人読み上げ(2024年3月1日『産経新聞』)

 
衆院本会議で小野寺五典予算委員長解任決議案の趣旨弁明資料を準備する立憲民主党山井和則氏=1日午後、国会(春名中撮影)

立憲民主党山井和則衆院議員が1日午後の衆院本会議で、小野寺五典衆院予算委員長(自民党)の解任決議案に関する趣旨弁明を2時間54分行った。令和6年度予算案の衆院採決を遅らせるための「フィリバスター」(議事妨害)とみられる。衆院本会議での趣旨弁明の時間としては、記録の残る昭和47年以降では、立民の枝野幸男前代表が平成30年7月に行った2時間43分を抜き〝新記録〟を樹立した。

山井氏は、自民派閥からの還流金を政治資金収支報告書に記載しなかった衆院議員51人の事例の読み上げに乗り出し、個別に論評を加えるなど、本会議場は山井氏の〝独壇場〟となった。

「ここに裏金議員のリストがある。自民党議員は『裏金』といっていないが、裏金でいいんですよね。なぜ裏金と認めないんですか。裏金問題を幕引きしようとするから、小野寺委員長は解任に値するんじゃないですか。読み上げますよ」

山井氏は趣旨弁明を開始して約25分後、こう述べるとクリップ止めした資料を取り出した。資料には不記載が指摘された51人があいうえお順にそれぞれ「氏名」「選出選挙区や比例代表」「不記載額や時期」「扱い」が書かれているという。

51人を巡っては、野党は全員の政治倫理審査会(政倫審)出席を求めたが応じられなかった経緯がある。山井氏は51人全員の事案を読み上げることで議事録に残す狙いがあったとみられる。

山井氏は、ただ読み上げるだけではない。

「『還流分を使用することなく保管していた』…?自民党さん、税務申告しないといけないのでは」など独自の講評をまじえ、「急ぎます」といいつつも、ほぼ全ての議員で話が〝脱線〟している。議場からはヤジも飛ぶが、山井氏はひるむそぶりはなく、逆にこう皮肉を繰り返す。

社会保障などライフワークの質問をしたかったが、『裏金の真相究明すべきだ』と国民の声が強いから、ぐっとこらえている。本来は自浄作用で自民党議員が自主的に果たすものではないのか」

自民党の皆さん、納税するのか、脱税するのか」

原稿にほとんど目を通すことなく演説する山井氏について、X(旧ツイッター)では「フィリバスター演説やっているんだけどメチャクチャ元気、イキイキしている。これも才能」「アドリブで出してくる能力。引き出しの大きさ、引き出しを開ける速さ。山井さんまじすごいわ」など称賛するコメントも相次いでいる。

山井氏の「能力」を熟知する安住淳国対委員長は本会議に先立ち、記者団にこう漏らしていた。

「ささやかで長い抵抗になるだろう」(奥原慎平)

立民・山井氏、議場に大量資料入りの大きな紙袋

静まる立民席、山井和則氏はにぎやか