やっと開催した政倫審なぜ中断 「裏金」解明の裏で、もう一つの与野党攻防があった(2024年3月1日『東京新聞』)

自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)は、1日午後の審査がストップした。岸田文雄首相まで出席し、ようやく開催にこぎ着けたはずだったのに、いったい何があったのか。(宮尾幹成)
3月1日の衆院政治倫理審査会は午後からの審議がストップした=国会で(代表撮影)

3月1日の衆院政治倫理審査会は午後からの審議がストップした=国会で(代表撮影)

この日の政倫審は安倍派の幹部らが対象。午後の審査では、午前の西村康稔経済産業相松野博一官房長官に続き、塩谷立文部科学相と高木毅前自民党国対委員長の弁明や質疑を予定していた。
ところが、午後1時になっても審査は始まらない。

◆野党が予算委員長の解任案提出

1日朝になって、立憲民主党から衆院小野寺五典予算委員長に対する解任決議案が提出されたからだ。
解任決議案の採決を優先し、午後に本会議を開催することに。本会議は全議員が出席するので、政倫審の審査は中断を余儀なくされた。
あれだけ裏金事件の実態解明を訴えていた立民が、なぜ政倫審の審査に水を差すような予算委員長の解任決議案を出したのか。
国の予算案は憲法の規定で衆院の議決が優越されるため、仮に参院の審議が長引いても30日で自然成立する。
自然成立のデッドラインは 3月2日。与党は2月29日になって、3月1日に衆院で予算案の採決を図ることを決めた。

◆「疑惑にふたして強行採決

政倫審開催中の予算案採決に、野党は「一言で言えば疑惑にふたをして(予算案を)強行採決するということ。対抗措置を取らざるを得ない」(立民の安住淳国対委員長)と反発。
予算案可決を阻止するため野党の対抗手段が、委員長を務める小野寺氏の解任決議案提出だった。
結局、決議案は与党などの反対多数で否決。政倫審は午後5時すぎに約4時間遅れで再開した。