靖国神社に参拝してなぜ悪い(2024年2月26日『産経新聞』-「産経抄」)

 
記者会見する海自トップの酒井良海上幕僚長=20日午後、防衛省

今年1月下旬に行われた日教組の教研集会で、日本軍の特攻隊員の遺書を題材にした授業が報告されていた。日教組も変わったのかと思い、本紙社会部記者が報じた記事を恐る恐る読んだ覚えがある。

▼改めて紹介すると、長崎県の中学教員は修学旅行の事前学習として特攻隊員の遺書を題材にした。家族や友人への思いなど項目に分け感想を書かせ、歴史的背景を考えさせた。

兵庫県の小学校教員は、当時の検閲について触れ、遺書に本音を書けたのかなどの観点で指導した経緯を報告していた。本紙記者の取材に、近代史の専門家は「検閲は作戦に支障が出る地名などが対象」とし、「検閲されたから一律に本音を書けなかったわけではない」などと指摘していた。

▼月替わりで靖国神社の社頭に掲示されている遺書に胸を打たれたことを思い出した。今月は「兄上に遺(のこ)す」と題した遺書で、23歳で戦死した特攻隊の海軍少尉は、両親や教師先輩への感謝をつづり、出撃への思いを記している。

▼後半では長男でない自分は家の事に「何も云(い)う事なし」とし「兄上を中心に一家団(だん)欒(らん)して国家の為(ため)に」と託した。出撃が迫る中、「甚だ簡単ですが兄上に遺す」と結んでいる。こうした遺書には共通して家族らを思う心情があふれている。

▼命をかけ国に尽くした英霊を祀(まつ)る靖国神社に、相変わらず冷淡な論調がある。朝日新聞は25日付の社説で「陸上自衛隊に続き海上自衛隊でも」などと批判している。昨年5月に海自練習艦隊司令部(広島県呉市)の司令官と海自幹部候補生学校の卒業生らが研修の休憩時間に参拝したというのだが、どこが問題なのか。弊紙は首相をはじめ、靖国神社に参拝しないほうがおかしいと主張しているのだが。