両さんや寅さんだけでない…葛飾区生まれの50歳「モンチッチ」、人気根強く地域振興にも一役(2024年2月24日『読売新聞』)

 東京都葛飾区生まれのキャラクター「モンチッチ」が、今年1月で誕生から50周年を迎えた。愛らしい見た目で、国内外に数多くのファンを持つ人気者だ。先月には都内で節目を祝うイベントも開かれた。区では生産を手がける地元玩具メーカー「セキグチ」と協力し、その癒やしのキャラを観光資源としても活用していく考えだ。(増田知基)

 モンチッチは2024年で50周年!

親子2代で

 つぶらな瞳に、フワフワの毛――。先月下旬、東京駅の八重洲地下に設けられたスペースに「モンチッチくん」と「モンチッチちゃん」が登場すると、集まった人たちはスマホのカメラを向けて「かわいい」「こっち見て」と声を上げた。

モンチッチと記念撮影する金子さん親子(1月下旬、東京駅で)
モンチッチと記念撮影する金子さん親子(1月下旬、東京駅で)

 この日は予約制の撮影会。50周年を迎えたことを受け、セキグチが企画した。軽快な音楽が流れる中、モンチッチと並んでポーズを決めた埼玉県上尾市の金子章子さん(65)は「昔から一緒に遊んできた。保育士だったので子どもをあやすのも助けてくれた。ずっと大好き」と笑顔を見せた。長女の千尋さん(31)、次女の彩乃さん(29)も「母の影響で好きになった」と口をそろえた。

 会場となった「東京キャラクターストリート」には、期間限定のグッズ販売店が設けられ、記念商品を買い求める人の姿も目立った。セキグチによると、今年は都内外で他にも展覧会やイベントが予定されている。

30か国以上で

 モンチッチは1974年1月に発売された。温かさ85年に一部地域以外での販売を休止したが、フや安心感が感じられる姿は大きなブームを起こし、翌年には海外輸出が始まった。

 ァンの要望によって96年に復活し、現在は欧州やアジアを中心に世界30か国以上で商品が扱われている。

 モンチッチが幅広く受け入れられている理由は、細かなプロフィルやストーリーがあえて設けられていないことにある。サルのような見た目で「妖精」と呼ぶ人もいるが、同社によると、明確な定義はない。マーケティング部の新井恵理さんは「家族や友達、恋人など、どう扱うかも持ち主次第。身近な存在としてそばに置いてほしい」と呼びかける。

街のシンボル

 人気者を地域振興に生かそうと、近年は地元・葛飾区が全力を挙げている。

 2016年は西新小岩の同社近くの工場跡地に「モンチッチ公園」を開園。17年にはデザインマンホールをJR新小岩駅周辺に設置したり、キャラクターをあしらったラッピングバスを走らせたりした。その後も、同駅前に時計塔や銅像が建てられるなど、今や街のシンボルの一つとなっている。

 50周年を記念し、先月末からは、地域巡りを促すモンチッチのデジタルスタンプラリーを始めた。3月末までにスタンプを集めれば、特製のハンドタオルやキーホルダーなどがもらえる。

 区観光課の中島恵美子課長は「観光資源としてのモンチッチが放つ存在感は大きい。今後も葛飾に人を呼び込む力に期待したい」と話している。